ポートフォリオの点検

変動の許容範囲をもとにリバランス

ポートフォリオの管理に必要なことは許容範囲の設定です。最初に 変動の許容範囲を決めてしまいましょう。ポートフォリオの点検で、 許容範囲を超えた変動が発生しているときは、分散投資とリスク水準 を確認しましょう。

ポートフォリオの管理の手順

ポートフォリオの管理には、ぜひ、変動の許容範囲を設定しておきましょう。変動の許容範囲とは、 こちらで紹介した損切り水準のこと です。何もこの水準を超えたからすぐにポートフォリオを売却してしま うのではありません。「この水準を超えて変動を起こしたときには次のス テップのことを考えましょう」という水準だと思ってください。

最初にポートフォリオの分散投資の効果をチェックしてみましょう。株 式に極端に偏っているなど資産クラスとしての確認が一つ、そして、レア ルやユーロなど特定の為替のリスクをとりすぎていないかという確認で す。リスク資産の資産配分が極端になっているときは修正しましょう。次 に、リスクコントロールです。リスクコントロールは、無リスク資産を調 整して行います。思っている以上にリスクをとっていると感じたら、無リ スク資産の割合を引き上げるようにアドバイスするとよいでしょう。

リスクの説明と調整

「よく分散されたリスク資産のポートフォリオであれば、リスクは10% 程度である」と考えてよいでしょう。そして、無リスク資産のリスクはゼ ロなので、ポートフォリオ全体のリスクは、リスク資産の割合にのみ比例 することになります。リスク資産部分の比率× 10% がポートフォリオ全 体のリスクとなるのです。

ポートフォリオのリスクが5 %、期待リターンが2 % であれば、95% の確率で実際のリターンが、12%(= 2 % + 5 % ×2)と-8 %(= 2 % -5 % × 2)の間に入ると解釈できます。「運が悪いときは8 % く らいマイナスになることを覚悟しましょう」と説明できます。

この記事は、「投資信託エキスパートハンドブック」のリメイク版の一部です。

モデルポートフォリオ

運用会社の統一した投資行動に不可欠な組み合わせ

モデルポートフォリオとは、運用会社が全世界の統一した基準となる ポートフォリオのことです。モデルポートフォリオの細部のカスタ マイズは現地のマネージャーが担当します。運用会社としての評価 を安定させるためにも、モデルポートフォリオは必要です。

モデルポートフォリオが存在する理由

モデルポートフォリオという言葉が目論見書などに出てくる場合があ ります。モデルポートフォリオとは、名前のとおり、モデルとなるポート フォリオという意味です。 グローバルな規模で資産運用ビジネスを展開している運用会社は、世界各 地で運用をバラバラに行っているわけではありません。運用をバラバラに 行うと、運用会社としての運用スタンスに統一性がなくなりますし、人員 も重複配置となりコストがかさみます。

そこで、運用の拠点は数ヵ所に絞 り込まれていることが一般的です。 そして、個別のファンドはモデルポートフォリオを複製して作成するの です。

チューンナップは現地のマネージャーが行う

モデルポートフォリオは、現地のマネージャーが現地の実情を考慮して 修正する場合があります。例えば、日本の投資家が投資する海外債券の ファンドは、円建ての債券を除くことが少なくありません。しかし、そう いった場合でもモデルポートフォリオは、円建て債券を含むすべての債券 を対象にして構築されます。モデルポートフォリオから、円建ての債券を除外するという作業が残りますが、これは現地のファンドマネージャーの 仕事になります。

運用会社の評価も関係する

運用会社の資産運用能力を測るとき、この会社が運用しているファンド AとファンドBの運用成績を個別に測定することはありません。むしろ、 この運用会社の運用している日本株式ファンドを全体で評価するというこ とが一般的です。したがって、個別のファンドがバラバラの動きをしてい るようでは運用会社としての評価が下がります。そういった意味からも、 モデルポートフォリオは大切といえるでしょう。

この記事は、「投資信託エキスパートハンドブック」のリメイク版の一部です。