シニア世代のライフプラン

親子がともに載ったキャッシュフロー表を作成しよう

シニア世代のライフプランを考えるときは、ご本人たちだけでなく、こどもや孫の世代まで含めたキャッシュフロー表を作ると、将来のイメージをつかみやすくなります。 一般的なFPのテキストでは、こどもや孫、あるいは、親の世代をキャッシュフロー表に載せるようには書かれていませんが、数十年に及ぶキャッシュフロー表を作るのであれば、前後の世代の年齢も含めておきたいところですね。相続問題を考えるときには、親子の情報がともに掲載されているととても役に立ちます。

親子の世代(世帯)を併記します

貸借対照表を作成しよう

シニア世代の特徴は、キャッシュフロー表より、貸借対照表が大切になることです。キャッシュフロー表は、貸借対照表に影響を与えるものを計算していると考えればよいでしょう。 現役世代においては、毎年の収支が積み上がって資産を形成していくという特徴がありますから、毎年の収支を計算して金融資産の推移を分析するキャッシュフロー表が大切です。しかし、シニア世代になると、資産を毎年取り崩していくことが一般的ですから、毎年の資産を時価評価して純資産を分析する(個人向け)貸借対照表がより重要になってくるわけです。

現役世代とシニア世代では主役が交代

シナリオ分析を行おう

ライフプラン分析(キャッシュフロー表と貸借対照表に基づいた分析)では、シナリオ分析が必要になります。もっとも可能性の高い状況をつなぎ合わせたものがメインシナリオです。通常のライフプラン分析では、このメインシナリオを作成するだけで分析が終了します。将来もっとも起こり得るであろう状況を予想するという意味では、メインシナリオを作成することは大切です。ただし、メインシナリオとおりいかなかったときのことを考えると、シナリオ分析が必要になります。

シナリオ分析とは、ある状況が想定とおりにならなかったとき(プランB)の分析も行って、メインシナリオと比較することでライフプランのリスクを明らかにする方法です。ちなみに、ビジネスでは「プランB」は、代替案という意味で使用します。ココでも同じです。メインシナリオの代替案がプランBです。

シニア世代にとっては、『世帯主が亡くなる』という状況を考えたプランをプランBとするとよいでしょう。

シナリオ分析が必要な理由

シミュレーションとシナリオ分析

ライフプランニングを考えるとき、そのゴールは人によってまちまちです。ある年齢における資産を最大化したいというケースもあるでしょうし、相続税の支払い額を最小化するというケースもありますし、一定の生活の質を確保しながら資産がマイナスになることを防ぐというケースもあります。そして、これらに影響を及ぼす要因がライフイベントです。ライフイベントには、「3,000万円の住宅を購入する」というようなものもあれば、「毎月、24万円の生活費がかかる」あるいは「年間で20万円の配当収入を得る」といったものもあります。ライフイベントを調整しながら、そのゴールにたどり着くというのがライフプランニングです。

解析的(方程式を解くように)にゴールまでの道筋が逆算できるとありがたいのですが、たくさんの仮定に立脚したライフプランニングにおいて解析的な解を求めるのは不可能です。そこで、ライフプランニング上の仮定(ライフイベント)を確率的に変動させてたくさんの計算を計算を行ったうえでゴールへの道筋を考えることが考えられます。これがシミュレーションです。

しかし、実務的には、一般消費者にシミュレーションのしくみやそこから得られる結論を理解してもらうのは難しいといえます。そこで、シナリオ分析が考えられます。シナリオ分析では、ライフイベントをすり替える必要がありますが、シミュレーションの技術的な困難さからは解放されます。

♥リスクを表示することができる

♥しくみを理解しやすい(説明が容易である)

という点から考えて、シナリオ分析は、実務的なライフプランニングには不可欠なものであると思います。

動画をご覧ください

シニア世代のライフプランを作成する手順を解説した動画を作成しました。

シニア世代のライフプラン~ライフプランニング統合ソフト「FP-MIRAI」を使った分析方法

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エンディングノート

エンディングノートは必要?

私は、『必要不可欠なものではないが、あるとよいモノ』であると思います。エンディングノートに法的な拘束力はありません。したがって、遺言の代わりになるわけでもありません。だから、必要不可欠なものではないのです。それでも書いておくことで一定の効果はあると思います。書いてあるという結果が大切というより、書く(書こうとする)ことを通じて、いろいろ学ぶことができるものだと思います。

エンディングノートに何を書くの?

現在たくさんの種類のエンディングノートが出回っています。そして、それらは全く同じものではありません。エンディングノートを作った人や組織の考えによって、その内容は変わってくるのです。

たくさんの種類のエンディングノート

葬儀会社が作成するエンディングノートであれば、故人の葬儀への想いを反映させることにウェイトが置かれるでしょう。証券会社が作成するエンディングノートでは、人が亡くなったときに保有している証券をどのように相続人等に引き継ぐのかが書いてあります。医療・介護関係者が作成するエンディングノートでは、エンディングの手前、病気や要介護になったときにどのようにしたいのかに重点が置かれることでしょう。

エンディングノートに含められる項目には、

1.生まれてからこれまでの自分の軌跡

2.親族関係図

3.お世話になった人へのメッセージ

4.要介護状態になったときの治療について意向

5.これからのライフプラン

6.財産に関する情報

7.遺産分割に関すること

8.葬儀・埋葬等の情報

などがあります。

エンディングノートは全部書く必要があるの?

人によって、エンディングノートに書きたいことは異なります。だから、人によって必要となるエンディングノートは違うのです。突き詰めると、自分に必要なエンディングノートは自分の書きたいことだけを含む自分オリジナルのエンディングノートということになります。

だから、既存のエンディングノートを持ってきて、その内容をすべて記入させることに私は反対です。自分で大切だと思うことだけを書いておけばよいのです。

オリジナルのエンディングノートを作るのは大変なので、既成のエンディングノートがある

自分専用のエンディングノートがよいとはいえ、一般の人が、ノートを一から作り上げるのはとても大変です。既存のエンディングノートを使う方が、ずっと楽ですね。既存のエンディングノートを使って、興味のあるところだけを埋めていくようにするとよいでしょう。

エンディングノートでセミナーをしたい病

専門家サイドの話をしましょう。エンディングノートという言葉が流行ったおかげで、専門家の間では、『エンディングノートを使ってセミナーをしたい』という病気が流行っています。エンディングノートという言葉が集客ツールになるので、エンディングノートという言葉を入れておきます。「エンディングノート、プレゼント」でも構いません。

参考~シニアコンシェルジュ協会のノートの目次

しかし、エンディングノートの内容を一人で説明することは大変です。専門家といっても、隣接する業界までカバーできている人はほんの一握りです。安直に、エンディングノートを使ったセミナー営業を目指すと、どういう結果になっているかは、推して量るべしです。

私がエンディングノートを使ったセミナーをしたいと考えるとき

入場無料のセミナーを行うとき、スポンサーがついていなければ、レジュメを配布することは難しくなります。シニアの方を対象にセミナーをするとレジュメのフォントを大きくせざるを得ません。1枚の紙に複数のスライドを印刷することもできません。そして、できればカラーで印刷してほしいといわれます。カラー印刷が1枚30円として、10枚のスライドがあれば、1セット300円。

もし、エンディングノートを買ってもらって、それがレジュメの代わりになるのであれば、それでよいと思います。手元にきれいな印刷物があるのであれば、無理にスライドで投影する必要もありません。さらに、エンディングノートは書き込むことができるので、自分で書きこんだノートはテキストではなく、自分のノートになるのでどこかで保管される可能性が高くなります。だから、私は自分のレジュメが圧縮されたようなエンディングノートであればセミナーのツールとして効果的だと思います。セミナーの聴講者とセミナーの講師、双方にとって納得できる落としどころではないでしょうか。

 

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