7月第1週の市況

先週の市況はコチラ

2018/7/2    月

米国では多くの銀行がストレステストに合格し銀行株が上昇、収益が堅調であったNikeとともに市場をけん引。国債と米ドルは下落し、WTIは74ドルを超える水準にまで上昇。中国が外資の投資に関する規制を緩和したことから欧州市場も上昇。移民に関する合意ができたことも市場に好影響

2018/7/3    火

米国では投資家が四半期決算を前にIT企業業績を期待しており、FB、マイクロソフト、アップルなどが1%以上値を上げ、市場全体もプラスに引き上げた。ただし、それ以外は方向性のない市場となった。米国の輸入品に対する関税の期限は7月6日となっており、中国やEUからは報復関税が予想されている。Teslaは生産計画を実現できないと見込まれて株価は下落した。欧州では、貿易戦争に加えて、ドイツのメルケル政権の不安定化、英国のEU離脱後の悲観的な見通しなどが相まって市場は軟化

2018/7/4    水

米国市場では休日前に市場は早終い。データ漏洩がより広範囲であったと報じられたFBが2.3%値を下げ、アップルも1%以上値を下げたためにテクノロジー株主導で市場は軟化した。ドイチェバンクが格付けを下げたことから大手航空会社株は値を下げ、モデル3の生産ペースに疑問をいただかれているテスラは7.2%と大きく値を下げる。欧州市場では、メルケル政権の内相が辞意を撤回し、ドイツ市場は上昇。Glencoreは子会社が米国法務省から召喚されることになり大きく値下がり。欧州市場全体では値を上げた

2018/7/5    木

米国市場は独立記念日で休場。欧州市場では、全体としては横ばいの市場であったが、輸出中心の英独の市場は軟化。中国政府が米国のマイクロンテクノロジーが中国国内でチップを販売することを禁じたことにより、IT関連銘柄が軟化。ドイッチェバンクはエストニアでの資金洗浄が予想していたより大規模であったことから値を下げた

2018/7/6    金

米国とEUの間では自動車に対する高関税を回避できるようになるとメルケル首相が発言し米国市場は上昇。民間部門の労働市場を表すADPレポートは予想を下回るものであったが、Fedの議事録が公開され、中央銀行が米国経済の成長に自信を持っていることが確認できた。昨日、値を下げた半導体関連は値上がり。欧州では、ドイツの自動車メーカーであるBMW、ポルシェ、ダイムラー、フォルクスワーゲンが大きく値を上げ、ドイツ市場も値上がりし、欧州市場全体も値上がり

市場とプロの投資家・個人投資家

個人投資家の強みは長期投資に耐えられること

株式市場や債券市場には、プロとアマチュアの垣根がありません。アマチュアである個人投資家は、知識・ノウハウあるいは情報の量・質という点でプロの投資家に負けます。一方、運用をプロに委託できる、長期投資に耐えられるという点が個人投資家の強みになります。

株式・債券市場は築地市場と同じ!?

野菜や魚の市場にはプロ向けの市場と一般向けの市場があります。資格を持った仲買人だけが参加できる市場、東京の築地市場などは典型的な市場ですね。一方、一般の人たちは、スーパーなどの小売店で購入します。こちらのスーパーとあちらのスーパー、比較して安いほうで購入する。これも市場の一つです。さらに、欲しいものが確定しているのであれば、オークションサイトで購入することも可能です。オークションも市場の一つです。

有価証券の代表格である株式と債券も、市場で売買されます。株式は、例えば築地市場に個人投資家からプロの投資家までがすべて一堂に会して売買を行っていると考えればよいでしょう。築地市場ですから、並んでいる商品に懇切丁寧な説明書はついていません。プロとアマチュアが同じ目線で売買をしている、それが株式市場です。

一方、債券市場は、オークション市場です。債券を売りたい投資家と買いたい投資家のマッチングで取引が成立します。ただし、売買情報は、継続的に取引を行っている投資家にしか集まってきません。そこで、証券会社が個別の投資家の代わりに売買を行うことになるのです。情報は証券会社に集中することになります。

個人投資家がプロの投資家に対抗するためには

株式市場でも債券市場でも、個人投資家は情報のギャップにより不利益を被ります。どのような株式なのかを分析するには相応の知識と経験が必要になります。
債券市場では情報そのものを集めることがその前段階として必要になります。プロの投資家であれば、相応の知識や経験があり、それなりの情報収集能力がありますが、個人投資家にはありません。

個人投資家がプロの投資家に対抗するためには、2つの方法が考えられます。一つは、運用をプロの投資家に助けてもらうこと。投資顧問契約を締結する、プロの投資家が運用する投資信託を購入するというのが具体的な手段です。もう一つは時間を味方につけることです。プロの投資家は、四半期ごとには成果を求められますから、長期的に値上がりする銘柄を中心に投資することは難しいのです。ところが、個人投資家であれば、数年あるいは数十年と待つことができます。長期投資は、個人投資家がプロの投資家に対抗すための対抗手段の一つなのです。

 

この記事は、「投資信託エキスパートハンドブック」のリメイク版の一部です。