必要保障額(2)

さて、合理的な消費者であれば、保険金額を抑えたいと思うであろう。保険金額を抑えたいという消費者のニーズに営業職員のみなさんはどのように応えているのであろう。保険金額を抑えるためには、(1)節約する(2)就労する(3)資産運用を行うという3つの方法が考えられる。ライフプランソフトでは、この3つの方法が計算できるようになっているだろうか。

節約する」ことは、生活費の引き下げを意味している。単に生活費の金額を引き下げるだけでなく、合理的に無理なく生活費を引き下げるためには、現在の家計を分析しなければならない。営業職員のみなさんは家計を分析して節約金額を提示しているのであろうか

就労する」ことは大切である。専業主婦の割合が減り、配偶者が既に働いているケースも少なくないと考えられるので、就労することによる準備済み資金の増加は、それぞれの世帯によってその程度が異なる。営業職員のみなさんは、配偶者の就業状況までを勘案した提案を行えているであろうか

資産運用を行う」ことは、保険金額を受け取ることとセットで考えたい事項である。保険金の年金受取りや収入保障保険など年金受取りが組み込まれた保険などにより死亡時の給付を分割して受け取ることは、資産運用を行っていることと同じである。ただし、保険金をまとめて受け取った場合には、その金額を運用することにより増やすことができれば、そもそもの保険金額を抑えることができることになる。営業職員のみなさんは、こういった提案まで行うことができているだろうか

3つの方法は、どれか一つを選択するものではなく、同時に選択できるものになっている。営業職員のみなさんには、ぜひ、3つの方法を駆使して提案する保険金額を引き下げていただきたいと思う。消費者の視点を忘れてしまうとよい営業活動にはならない

ライフプランソフトを使って提案することは、一見すると合理的な提案のように思えるが、実は、保険金額を抑えたいという消費者のニーズに応えることができていないのかもしれない。そして、この問題を解決するための方法は2つある。一つはライフプランソフトをより柔軟な設定ができるようにすること。もう一つは、ライフプランソフトを使わずに手計算で必要保障額を提案できるようにしておくことである。

この記事は、インシュアランスに掲載したものです

必要保障額(1)

一家の世帯主が亡くなった場合、どの程度の保険金があれば残された遺族が過不足なく生活していくことができるのかを示した金額のことを必要保障額という。FPのテキストにも、「ライフプランを考えて、必要保障額を考えてみましょう」と書いてある。保険会社が提供するライフプランソフトも、この必要保障額を計算することが目的の一つである。

一般的に、必要保障額の計算は、遺族の生活資金から準備済みの資金を差し引いて考える。遺族の生活資金は、配偶者の一生涯の生活資金と独立するまでの子の生活資金が中心になる。子の教育資金や結婚のための資金援助額、さらに、債務額などを加えて遺族の生活資金は計算される。

準備済みの資金の中心は、公的年金である。公的年金は、遺族年金と老齢年金に分けることができる。死亡した人がサラリーマンであれば、遺族基礎年金と遺族厚生年金を受取ることが考えられる。会社から受け取る死亡退職金や弔慰金もプラスする。その他、企業年金などの金額も加えられる。さらに、残された遺族が働いて得る就労所得や現在保有している資産もプラスされる。

保険会社が提供するライフプランソフトも、おおむねこのような計算を行っている。営業職員や保険代理店の社員はそういったソフトを使って、顧客の必要保障額を計算し、そして、計算された必要保障額に見合った保険金額の保険を提案するというわけである。

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この記事はインシュアランスに掲載したものです。