終活を考える

先日、いつも見慣れている教会の前から霊柩車が走り出した。霊柩車を見るのはそれほどまれなことではないが、『教会X霊柩車』の組み合わせに出くわしたのは久しぶり。「そうか、教会で葬儀も行うんだ」と改めて感じられた。

そう、私の意識の中では、教会は週末のお祈りをやっているところであり、バザーなどを開催しているところ。地域の人たちへの福祉活動をしているところで、その延長に葬儀がある。だから、教会へのイメージは『死』ではなく『生』

日本のお寺のイメージは、残念ながらまるで逆。お寺は、葬儀を行う場所であり、葬儀以外では観光の場所お寺は、『日常』を取り扱う場所ではなく、『非日常』を取り扱う場所になっている。

お寺の経営が苦しいという話を聞くことが多いが、それは、お寺が『日常』にかかわる場所でなくなっているからではないだろうか。



エンディングノートの背景にあるもの

①これまでのわたしをまとめるときの注意点

これまでのわたしをまとめることがエンディングノートを書く目的ではありません。 エンディングノートを描く目的は、自分の人生の終わりを考えて、それまでの期間、どのように時間とお金と情熱を使うかを決めることにあります『エンディング=人生のゴール』と考えてしまうと、むなしさだけが残ることになります。

②ライフプランボードの紹介とその考え方

シニア向けのライフプランで難しいことは、ライフプランの内容が、人により異なるということです。平均があてにならない、それはシニアライフの特徴です。ライフプランボードは、そのようなシニアのみなさまが、自分たちでライフプランを考えることができるようにしたツールです。

シニアにとってキャッシュフロー表を作成するのは手段でしかありません。キャッシュフロー表よりもっと大切なものは、ライフプラン表です。でも、ライフプラン表も手段でしかありません。本当に大切なのは、一つ一つのライフイベントです。

しっかりした、ファイナンシャルプランナー(FP)は、きっとライフイベントにまで戻って話を聞いてくれる人です。

③資産の記録~相続の視点

エンディングノートの大切な機能の一つが資産の記録ですが、将来の相続を見据えて、個人向けの貸借対照表が作成できていると安心です。 将来、相続税の計算などでも使えるように情報を整理することを考えます。

エンディングノートには資産明細表を各ページがたくさんありますが、その役割は相続財産を明らかにしておくことです。そして、シニアライフの期間を通じてその資産がどのように増減するのかもまとめておくことが必要です。

エンディングノートに載っている資産の明細は、まとめて資産ポートフォリオとして把握しておくとよいでしょう。

④エンディングの前後に発生するもの

終活で大切なことは、エンディングの前後に発生することを知ることです。残された人がどのようなことをしなけれならいのか、残される側になったときも、残す側になったときも考えておきたいものです。

お金の話だけではありません。お墓の問題を含めた祭祀の問題もあります。残された動産や不動産をどのように処分・活用するのか。

グリーフケアといわれる問題もあります。亡くなった人がいなくなって心に穴が開いたような状態になり、一方で、そこから立ち直ろうとして、心のバランスが悪くなることがあります。広い意味で終活の問題です。

⑤異業種間の協働

シニアの問題を解決する…いい方がおこがましいですね。シニアの問題に寄り添うためには、一人の専門家では十分ではありません。シニアの専門家はたくさんいるのですが、完璧な専門家は存在しません。だから、シニアにとって必要なのは、専門家のネットワークです。

でも、専門家がいくらネットワークを作っても、そのネットワークを訪問する人がいなければ意味がありません。だから、さらに地域のネットワークとつながりを持っておく必要があります