2月第4週の市況

2021/2/22    月

米国市場では、相変わらずスティホームで値が上がったテクノロジー関連銘柄が売られ、1.9兆ドルの景気刺激策に対する期待感から景気循環株が買われるという市場になっている。農業機械のDeere & Coは9.9%値を上げ、キャタピラーは5%値を上げて史上最高値となった。金融、素材、エネルギーなどは1%以上値を上げ、航空株指数はパンデミック後の回復を視野に3.5%の株価上昇。バリュー株式がグロース株式を上回ることになったため、DOWは値を上げたが、SP500はわずかに下落、NASDAQは1.6%の下落となった。欧州市場では、2月の工場稼働率が3年来の高水準となり、また、ユーロ圏の12月の経常収支が改善したことから株式市場は上昇。英国については小売りが芳しくなく、ポンド高になったこともありFTSEの上昇率は低くなった。ルノーは80億ユーロの年間赤字を計上し、株価は4%以上の下落

2021/2/23    火

米国市場では、2月に入って国債のイールドが28bpsも上昇し、ここ3年で最大の上昇となった。アップル、マイクロソフト、グーグル、Tesla、Amazonといった企業群は値を下げてバリュー株が堅調。SP500とNASDAQは値を下げたが、ダウはウォルト・ディズニーに株価上昇が寄与して上昇。Discover Incは2月末までに有料の視聴会員が1200万人を超えたと公表し株価上昇。欧州市場ではインフレの予想と利益確定売りが市場の下げ要因。ECBのラガルド総裁は金利上昇を制する発言。英国ではジョンソン首相がロックダウンの解除の道筋を明らかにし、IAGは7%以上の株高

2021/2/24    水

米国では市場終了間際になってSP500とダウは値を上げたが、NASDAQは値を下げたまま。Fedのパウエル議長は、インフレの件について適切な対応をとるとしながらも、緩和的な金融スタンスは当面維持するとコメント。ビットコインが12%下落し、ビットコインに大規模投資したばかりのTeslaは2%株価値下がり。取扱業者のRoitBlockchain、Marathon Patent、ビットコイン銀行のSilvergate Capitalなどは20%以上の株価下落。ホームデポは予想以上の四半期決算を公表したが、コロナ関連の需要は継続的なものではないとみなされ株価は3.1%下落。欧州市場でもイールドが上昇して、テクノロジー株を中心に値下がり。銀行業のウェイトが大きいスペイン株式は1.7%の値上がり。HSBCは年間の利益が大幅減となり株価が0.8%下落

2021/2/25    木

米国では、パウエルFRB議長がインフレのゴールまで戻るには3年を要するとコメントしてインフレ懸念を払しょく。マイクロソフト、Amazon、アップルは値を下げたが、Facebook、Netfliex、alphabetは値を上げ、NASDAQは1.3%値を上げた。FDAはジョンソン&ジョンソンのコロナワクチンは安全で効果があるとコメント。Lowe’sは2021年の売り上げ見通しが40億ドルないし80読ドル低下すると見通し、株価は下落した。欧州市場ではドイツの第4四半期のGDP成長率が0.3%上昇し、予想以上であったことから市場は値上がり。各国でロックダウンが解除されつつあり、旅行業界は1.9%値上がり。決算が好調だったテレコムイタリアは9.2%株価上昇

2021/2/26    金

米国市場では大きく値を下げた。特にNASDAQはここ4か月で最大の下落。10年物イールドは1.614%になり、平均的なSP500の配当利回りを超えた。アップル、マイクロソフト、Amazon、Facebook、Netfliexは下落。Teslaはカリフォルニアの生産拠点の製造の一部停止を公表し株価下落。欧州市場でも株価は下落。米国市場のテクノロジー銘柄の利益確定売りの影響が出た。スタンダード・チャタードは年間利益が下落したことで6.2%の株価下落。インベブは第4四半期のコア利益が下落して株価は6.4%下落

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2021年の投資環境~その2

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2020年のふり返り

今後を考えると・・・

ただし、今回の株高について、前回と同じような道をたどる保証はない。各国で大規模な景気刺激策が採られていることも考慮しなければならない。日本も同様であるが、各国の景気刺激策の財源は国債によって賄われる。国債の市場に資金が流入しなければ、流通市場での国債の価格は下落し、その結果、金利が上昇する。金利が上昇すると、高配当が魅力の公益株やREITなどの価格は低下する。一方で、銀行や保険といった金融株にとって高金利は追い風になる。

セクターだけでなく、企業の業態も考慮しなければならない。米国では、FANG+という指数がある。その構成銘柄はFacebook、Amazon、Apple、Netflix、Google、Tesla等の10銘柄である。この指数は米ドル建てて2020年に2倍弱になっている。これらの企業は、明らかにコロナウィルス関連で需要が増加した企業である。

2020年に株式(投信)を購入した人は、値段が上がっている人が多いであろう。ただし、同じことが2021年も続く保証はない。株式自体は、各国ともかなり割高な状態になっているが、2021年1月中旬までの市場は安定している。個人投資家として考えるのであれば、直ちに株式を売却する必要は全くないが、市場が下落したときのことを想定して対応策を講じておくとよい。想定される市場の下落時に値を上げるような銘柄や資産に投資しておくこと、価格の下落幅が一定になったら損切をするルールを作っておくことなどが考えられるであろう。

図表3 対策を考えておく

※ この記事は2021年1月に執筆されたものです

この記事は、週刊インシュアランスに掲載されたものを、出版社の許可を得て転載したものです。保険関係者に好評の生命保険統計号もこちらからご購入いただけます。

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