いま改めて考える 外貨建て保険への取り組み

ファイナンシャル・アドバイザー(NO.243 2020年冬号)に、「いま改めて考える 外貨建て保険への取り組み」という記事を掲載させていただきました。

この記事は、ファイナンシャル・アドバイザー(NO.242 2020年秋号)の『withコロナ時代の資産運用アドバイス』の一部で書かせていただいた原稿(掲載部分の一部はこちらでご覧いただけます)の一部をスピンオフ企画として、別号に掲載していただいたものです。

今回掲載いただいた「外貨建て保険への取り組み」で伝えたかったことは、

  • 外貨建て保険をどのように説明すればよいのか、一律の基準があるわけではない
  • 販売側に求められるのは、顧客のニーズ(主訴)を把握して、そのニーズに応じた商品を提案することである

ということです。

原稿を書きながら、40数年前の私自身を思い出していました。それは授業中によく言ったフレーズです。

『先生、教えてもらっていません』『先生、聞いていません』

先生”を“顧客”に置き換えると、金融商品の販売の現場でよくみられる“クレーム”です。

先生”を“会社”に置き換えると、できの悪い募集人の言い訳になります。

私が書いた記事の、一部は出版社の好意でみられるようになっています。

“ダメ”だしだけの記事になってしまうと万年野党の政治家の発言になってしまいますので、“こうしたらよいのでは”ということも書いてあります。

それは、ライフプランを頭に入れて、どのステージの人に商品を説明しているのかということを明確にすること。外貨建て保険でも、一時払保険と平準払保険では随分と特性が変わります。

会社が『このように説明しなさい』といったからそう説明するのではなく私が『このように考える』ので私の考えに沿って説明する

銀行や保険会社には、そのような人材を育ててほしいと思います。

2020年冬号にも掲載できなかった分は、こちらでブログに書かせていただきました。

ファイナンシャル・アドバイザー誌(NO.243 2020年冬号)の詳細・購入はこちらでご覧いただけます。

外貨建て保険の分析~ジブラルタ生命「米国ドル建終身保険(低解約返戻金型)」

外貨建て保険の記事を執筆しました。Financial Adviser(2020年冬号)に掲載される予定です。本体の記事はそちらでお読みいただきたいのですが、今回紹介するのは、その記事に掲載できなかったものです。

外貨建て保険って、どのようなイメージをお持ちですか?

外貨預金のようなもの…それ、間違っています

投資信託のようなもの一部、当たっています

保険のようなもの…それ、だいたい、当たっています

『一部が、投資信託のようで、でも、全体的には保険のようなもの』が外貨建て保険の正しいイメージです。

みなさまが支払う保険料も、投資信託のようなもの(資産運用)にあてられる部分と、保険のようなもの(資産運用でない部分)にあてられる部分に分解できます。

 

でも、この割合は開示されていません。「年齢や性別、あるいは、保険の経過年数によって割合が異なる」というのが保険会社の言い分です。それは、そのとおりなのですが…

ちょっと、無理をして公開されているデータからその割合を探ってみましょう。

参考にしたのは、ジブラルタ生命「米国ドル建終身保険(低解約返戻金型)」です。この保険、外貨建て保険としてはよくできていると思います。

パンフレットに記載されている例で、実際の保険料は、毎月148米ドルになっています。30年後には(解約返戻金が)60,340ドルになっているので、運用利回りを計算してみると0.81%になります。資産運用としてみれば、この保険は、0.81%の利回りが、米ドル建てで確保されている商品とみることができます。この利回りが高いのか、低いのかは、米国の債券の利回りを見て判断するとよいでしょう。

予定利率2.5%も開示されていますので、60,340ドルを積み立てるのに毎月必要な金額を逆算すると112ドルになります。実際の保険料(148ドル)との差額(36ドル)が、保険金の支払いや会社の経費にあてられる部分です。24%は資産運用以外のところに使われているわけです。