ドルコスト平均法だけで大丈夫!?

ドルコスト平均法は非効率になる場合がある

ドルコスト平均法は、市場が変動を繰り返しているときに資産を積立てる手段として効果があります。しかし、保有している資産を定期的に取り崩すときにはドルコスト平均法を使うと非効率になります。

ドルコスト平均法は積立するときに有効

ドルコスト平均法とは、「毎月一定の金額を購入していけば、価格の安いときに多くの口(株)数を購入することができ、価格が高いときには少ししか購入することができず、全体で見れば平均購入単価を低く抑えることができる」という方法です。市場が値動きを上下に繰り返し、その変動するタイミングを事前に予測することができないのであればドルコスト平均法は機能します。これは分散投資の場合と同じ考え方です。市場を完全に予測できないのであれば、分散投資やドルコスト平均法は有効な方法なのです。

解約するときにはドルコスト平均法を使わないほうが賢明

ところで、ドルコスト平均法は使わないほうが好ましい局面があります。それは、保有している資産を定期的に取り崩している局面です。シニアライフなどで、保有しているファンドを毎月解約していくイメージです。例を挙げて考えてみましょう。

これは毎月3万円ずつ保有しているファンドを解約したときの金額を表したものです。定額方式ですからドルコスト平均法です。最終的には、累計解約金額を累計解約口数で除して効果を求めています。この場合は1.03。投資金額1円が1.03円になったことを表しています。
一方、毎月、3万口ずつ解約したケースを見てみましょう。

このケースでは、6月までの3か月間で1.10になっています。投資金額1円が1.1円になって戻ってくるわけですから、ドルコスト平均法を採用したより効率がよいことがわかります。
これは、ドルコスト平均法では、基準価額が低いときでも同じ金額を解約するため、多くの口数を解約しなければならないからです。積立を行うときにはとても役に立つドルコスト平均法ですが、定期的に資産を取り崩す場面では、ドルコスト平均法を使わないほうが賢明なのです。

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リスクは避けたいがカモになるのはもっと避けるべき

リスクは避けたいがカモになるのはもっと避けるべき

リスクを避けるためには、リスクをヘッジする必要があります。これには多くの場合、コストがかかります。このコストも避けたいがために、複雑な金融商品に手を出してしまう話が後を絶ちません。

普通の人はリスクが嫌い

普通の人であれば、だれでもリスクを嫌います。1年後に確実に5万円受け取れるA商品と、1年後上手くいけば10万円手に入るけど下手をすれば全くお金が手に入らないB商品。平均(期待値)を計算するとどちらも同じですが、ほとんどの人はA商品を選ぶでしょう。
さらに、1年後上手くいけば20万円手に入り、下手をすると10万円支払わなくてはならないC商品があったとします。普通の人は、B商品より、C商品をさらに嫌います。
普通の人は、将来の受取り金額(ペイオフ)が確定していないものより、ペイオフが確定しているものを好みます。そして、ペイオフがマイナスになることはどうしても避けたいと考えます。

リスクを減らす

そこで、私たちはリスクを減らそうと考えます。一番良いのはリスクのあるものに手を出さないこと、そして、消すことのできないリスクはヘッジすることです。「リスクをヘッジする」とは、リスクをなくしてしまうことです。
外貨建ての商品を購入してしまったときは、為替のリスクがあります。為替リスクをヘッジしようとすると、将来の為替レートを予約することで可能になります。世帯主に万が一のことがあったら、残された家族は生活できなくなってしまうかもしれません。だから、生命保険に加入していざというときに保険金が入ってくるようにするのです。これもヘッジです。

ヘッジにはコストがかかる

リスクをヘッジすることは大切なのですが、もっと大切なことは、ヘッジにはお金がかかるということを知っておくことです。
為替予約には多くの場合、コストがかかります。保険に加入すると保険料を支払わなければなりません。保険料は、英語でpremium(プレミアム)といいます。普通の生活では必要ないのに、保険に加入したから割増しで支払うお金が保険料なのです。ヘッジを掛け過ぎると、保険料が雪だるま式に積み重なって身動きが取れなくなります。

誰がカモになっているのか

「ヘッジはしたいがコストがかかる」。そう考えているところに、ある人が話を持ってきます。『この商品は、リスクはほとんどないんだけど、毎年10%の配当があるので魅力だよ』。あなたは、なぜ10%もの配当があるのかわかるでしょうか?
欧米には、「ポーカーをはじめて20分経っても誰がカモになっているのかわからなければ、それは自分がカモになっている」という例え話があるそうです。

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