リスクは一定ではない

リスクは時とともに上下動している

合理的な投資家であればできるだけ避けたいリスクですが、時の推移とともに変動していることは、あまり知られていません。リスクの高いと思われている株式であってもリスクをあまり感じなくて済む時があるのです。

変動するリスク

株式はリスクが高いといわれていますが、株式のリスクは時系列で変動しているのをご存知でしょうか。TOPIX(日本株式)やSP500(米国株式)のリスク(標準偏差:ボラティリティ)は平均すると20~25%程度なのですが、市場環境によってリスクは変動しているのです。

図は日時データから算出したTOPIXの年換算リスクの移動平均を表しています。グラフ中に記載したように、リーマン・ショックのときと、欧州債務問題がポルトガル・スペインなどに拡散し、日本では東日本大震災が発生したときに、リスクは大きく跳ね上がっているのです。

私たちの感覚とすり合わせてみる

シャープレシオを思い出してみましょう。

シャープレシオ=(リターン-無リスク資産利子率)÷ 標準偏差(リスク)

ここで使われているリスクが、時と場合によって変動するのです。当然、シャープレシオの値も変動することになります。シャープレシオとは、リスクのあるものに投資したときの魅力度を測るための尺度です。

リスクのあるものの魅力度は、リスクの低い(市場が安定している)ときには高く、リスクの高い(市場の変動が大きい)ときには低くなっているのです。

リスクのあるものに投資をして怖いと感じるのは、市場が大きく変動している時なのです。リスクが一定ではないと知っておくだけで、私たちは随分と心に余裕が生まれるのではないでしょうか。

TOPIXの年換算リスクの時系列推移

ライフプランニングに役立つ資産運用の考え方(リメイク中)の全文はこちらでご覧いただけます

外貨建て保険かファンドか?

退職したら退職金を10年程度使わずにおいておこうと思っています。このとき、外貨建て保険などで運用したほうがよいのでしょうか。それとも、ファンドを購入したほうがよいのでしょうか?

運用を考えているのであれば答えはファンドになる。外貨建て保険であれ、変額保険であれ、運用の部分だけを取り出して考えるとファンドに勝てないからである。

その理由は、図「運用に充てられるお金が異なる」を見ればわかる。仮にファンドと変額保険が同じ運用をしていたとしょう。運用に充てられるお金が、ファンドと保険では異なる。保険は保険会社で徴収する保険関係の費用(保険会社の手数料と保険の保障に充てる費用)が発生する。だから運用として考えた場合、ファンドのほうが効率がよい

図 運用に充てられるお金が異なる

資産運用の9割はセットアロケーションで決まる?