ファンド(投資信託)に投資したお金と情報の管理

資産は受託銀行が、情報は販売会社が管理

ファンドに投資したお金は、販売会社(証券会社や銀行など)から受託銀行(信託銀行)のファンド専用口座に振り込まれます。この口座は受託銀行自身の資産とは分別して管理されています。また、ファンドでは投資家の個人情報は、販売会社が管理し、委託会社や受託銀行に提供されることはありません。(委託会社や受託銀行が販売会社を兼ねているときは除きます)

ファンドの資金管理

投資家(消費者)が投資信託(ファンド)に投資したお金(買付代金)は販売会社から、委託会社を経ることなく、受託会社(銀行)に直接振り込まれます。受託銀行にはファンドの専用口座が開設されています。ファンドのお金はここで一元的に管理されています。
もし、委託会社が倒産しても、ファンドの資産は受託銀行で保管されていますから安全に守られています。受託銀行が倒産したら、受託銀行には分別保管が義務付けられており、預かった資産と自己の資産を混同できないようになっています。したがって、受託銀行自身が債務超過に陥ったとしても、ファンドの口座は安全に守られているという仕組みです。

ファンドの情報管理

お金の動きとは別に情報も流れます。「Aさんが、Bファンドを1万円購入した」とします。Aさんに関する情報は、販売会社から外部に流れることはありません。投資家AさんがBファンドを購入したという情報は、販売会社は知っていますが、運用会社(委託会社)や信託銀行(受託銀行)は知らないのです。
運用会社や信託銀行に送られる情報は、
  • 1万円(手数料を差し引かれるときは差し引いた後の金額)が受託銀行に送金されたということ
  • 売買の口数(ファンドは口数単位で取引されます)

です。

この記事について

杉山 明

ブログでお知らせしましたが、「投資信託エキスパートハンドブック」が絶版になることが決まりました。とても残念なのですが、せっかくの機会なので、視点を変えて作り変えてみようと思いました。「投資信託エキスパートハンドブック」は出版社からの要請もあり、金融機関勤務者向けの視点から書かせていただいたのですが、今度は、一般の消費者の視点から書かせていただこうと思っています。

PDF版もあわせて配信していく予定です。PDF版は、より書籍に近く、図表は作り直してきれいなものになっています。

5月第1週の市況

2017/5/1    月

米国の2017年第1四半期のGDP成長率が年率0.7%と過去3年で最も緩やかなものとなった。SP500、ダウは下落したが、アルファベット、アマゾンにけん引されてNASDAQは史上最高値を更新。原油価格は50ドルを回復し、米国債は値を上げた

2017/5/2    火

米国では3月の消費者支出がそれほど伸びず、工場受注は上昇。マヌーチン財務相が30年超の超長期債券の発行に前向きな発言をしイールド低下。原油価格は1か月来の安値となる。トランプ大統領が商業銀行と投資銀行の再分離について言及。NASDAQは史上最高値を更新

2017/5/3    水

米国では原油の在庫が増加し原油価格が下落。アップルはiPhone販売の不振から2.3%値を下げた。市場では3日に公開されるFOMCのコメント待ち。日本円は6週間来の安値を付ける。欧州では、工場活動指数が6年ぶりの高水準となり、金融、産業株の上昇に支えられて市場は上昇

2017/5/4    木

FOMCはインフレは目標値の2%近傍にあるとして利上げを行わず、ドル高、イールド高の様相。イールド高により金融株が上昇。ADPレポート、ISM非製造業指数が上昇するなど好材料があるが、銅価格は2015年以来の大幅な下落。欧州市場ではアップルのサプライヤーを中心に値を下げ、BHPビリトン、アングロアメリカンなどの資源関連も下落

2017/5/5    金

原油価格が6か月来の安値を付け、米国市場ではエネルギー関連が軟調。欧州市場ではこれまで決算を公表した企業のうち8割が予想を超える収益を計上しており、HSBCも好決算のため2.9%値を上げた。石油関連のStatoil、ロイヤルダッチシェルも原油価格の値下がりがあったが決算が好調であったために株価上昇。市場全体でもDAXが史上最高値、CAC40は9年来の高値となった