5月第4週の市況

2019/5/20    月

米国ではトランプ政権が輸入車に対する関税の引き上げを6ヵ月間延期し、カナダとメキシコからの金属については関税の引き上げで合意。米中対話は暗礁に乗り上げる形で、産業株や通信株を中心に値を下げた。一方でミシガン大学消費者信頼感指数は15年で最高を記録。欧州でも米中交渉の行方が市場にマイナスの影響を与え、自動車株は軟化。また、英国のBrexitに関する国内の混乱は英ポンドの下落となった。ただし、英国のFTSE指数はポンド安は上昇の要因となった。

2019/5/21    火

Hauweiが米政府からブラックリストに掲載され、Googleがサービスの提供を中止するとの報道が流れ、欧米市場ではテクノロジー株を中心に大きく値下がり。米国ではフィラデルフィア半導体指数が4%以上下落し、アップルも3.1%値を下げた。T-MobileとSprintの合併について連邦通信委員会の委員長が歓迎するコメントを発表し、それぞれ、3.9%と18.8%値を上げた。欧州でもHauweiの影響が大きく、AMS,STMicroelectronics、ASMLが6%ないし13%ほど値を下げた。さらに、ドイッチェバンクはトランプ大統領と義理の息子のクシュナー氏の取引を含む案件でマネーロンダリング違反を米当局から指摘され2.6%値を下げ、終値としては史上最低を記録

2019/5/22    水

Hauweiの取り扱い停止については8月19日までの猶予期間が与えられ、欧米市場はテクノロジー株を中心にリバウンド。米国ではフィラデルフィア半導体指数が2.1%上昇し、欧州市場ではテクノロジー株式が1.6%上昇した。その他、米国市場では小売りのKohl’sが通年の利益見通しを引き下げ12.3%と大きく値を下げ、同業のJ.C.Pennyも四半期の既存店売り上げが予想以上の落ち込みとなり7%値下がり。欧州では、ドイツのDAXは1%弱の上昇となり、風力発電のVestas Wind Energyはフィンランドからの大型受注で3.9%上昇

低コストで投資できるバランス型ファンド

2019/5/23    木

Hauweiに対する制裁が延期されたが、米国ではビデオ監視のHikvisionに対する制裁の動きがあり、欧米市場でマイナスの影響。Qualcommは司法当局が不正競争があったと認定し10.9%と大きく下落。住宅用品のLowe’sは通年の利益予想を引き下げ、Nordstronも売り上げと利益予想を引き下げ、いずれも10%前後の値下がりとなった。欧州では、米国の中国企業制裁の動きのほかに、イギリスでメイ首相が妥協したBrexit案の支持を得られない可能性が指摘され、市場の値下がり要因となった。

2019/5/24    金

米中間の貿易紛争が先鋭化し欧米市場に負の影響をもたらす。米国市場では、テクノロジー株や産業株を中心に値を下げ、さらに、原油価格が5%も値下がりしたためエネルギー関連が下落。上昇しているのは公益・不動産といったディフェンシブなセクターのみ。主要株価指数は1%以上下落。イールドも低下し2017年10月来の低水準となった。欧州市場でも大きく値下がりし、貿易感応度の高いドイツのDAXは1.8%の下落。ドイツでは景況感指数のIFOも低下した。自動車株とエネルギー株を中心に値下がり

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アカウント型保険の将来~その2

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数十年前、投資信託(ファンド)の世界では黒船がやってきた。黒船の名前は、『ファンド・オブ・ファンズ(FOF)』FOFは投資信託がほかの投資信託に投資するしくみである。つまり、後発の投信会社であっても、海外の有名な投資信託に投資するようにすれば、投資先の投資信託の運用成果を採り入れることができるのである。FOFで画期的であったのは、投資するファンドは、自社が運用するファンドでなくてもよいということであった。複数の(歴史がありよい運用成果を挙げている)よいファンドに投資するファンドを作れば、後発の運用会社でも消費者から評価を得ることができるようになったのである。

筆者はアカウント型保険が、FOFのようなものになればよいと考えている。つまり、アカウント型保険を作るのはA社であるが、そこに含まれるがん保険はがん保険の長年のノウハウがあるB社の商品、あるいは、介護保障は、子会社に介護ビジネスを手掛けるネットワークが充実しているC社の商品というように、自前主義をあきらめて、本当によい商品をラインナップするようにするということである。そうすると、保険会社は分野ごとに寡占が進むことになる。保障を提供できない保険会社は保険グループとしてのアカウント型を組成する役割を担うことになる。

アカウント型保険が不要な保険だとは思わないが、消費者に広く受け入れられるには2つの改良が必要であると思う。一つは、販売員の質の向上である。PCにいくつのかの数値を入れるだけではライフプラン分析は完了しない。自力でライフプランが分析できて、初めてアカウント型保険の提案ができる。もう一つは、保険商品に対する発想の転換である。すべてを自社でまかなうことができる保険会社はないと考え、外部のノウハウを安いコストで取り入れてしまうようにすればよい。数十年前に解禁されたFOFは、今ではファンドの世界では当たり前のしくみになっている。

<この記事は、週刊インシュアランス生保版に掲載されたものを転載したものです>