資産運用の考え方~その2

資産運用には2 つの過程(積立・取崩)がある

資産運用は、貯まったお金を運用するのではなく、お金を貯めるため に運用すると考えるとよいでしょう。運用の利回り、積立金額、積立 期間この3 つがわかれば、積み立てられる金額を試算することができ ます。そして、シニア世代になると資産運用には取り崩すという機能 が加わります。家計の不足分と相続を考えながらの運用になります。

貯めたお金を取り崩していく過程

資産運用には、貯めたお金を取り崩していく過程も存在します。現役世 代の場合、「〇〇歳までに(△△年で)いくら貯める」ということが目標に なると思いますが、その先には、シニア世代で貯めたお金を取り崩してい くという過程が存在します。積み立てる前に、すべてを考えることは無理 なのですが、積立が終了する前後から、取り崩すプランも考えておく必要 があります。この過程で考えておきたいことは、

  1. 取り崩す期間はどのくらいだろう
  2. 取り崩す金額はいくらにしよう
  3. 遺しておく金額はいくらにしよう
  4. 税制メリットを活用する方法はあるだろうか

ということです。

この過程で一番難しいのは、取り崩す期間の設定です。『人生100 年時代』だからという理由で取り崩す期間が長くなると、取り崩す金額がとても少なくなります。

たくさんのお金を遺して亡くなることになったら、ひょっとして、相続 の問題にも影響を与えるかもしれません。もし、投資信託の形で、証券会社や銀行にお金が残ってしまうと、残された遺族は、そのお金を相続分割 協議が成り立つまで使うことはできません。そうなると、生命保険で残しおいた方が有利なのです。取り崩す期間の設定は、自分があと何年生き るかという問題であり、その人の体調や考え方に左右される事項です。

資産運用は長期戦

『リタイアしてから、まとまったお金を手にして資産運用を始めてみよう』というのは危険すぎます。資産を積み立てる過程でリスクを理解して、その後で、貯まった資産を計画的に取り崩していくことが大切です。そのためには、運用のしくみやリスクを理解しておくことが大切です。

現在では、大学などでお金について学ぶ機会が増えています。知識を身につけたら、社会人になって積立を通じて資産運用を継続し、リタイアした後は、積み立てたお金を計画的に取り崩していくというのが理想です。資産運用は長期戦なのですね。

この記事は、「投資信託エキスパートハンドブック」のリメイク版の一部です。

資産運用の考え方~その1

資産運用には2 つの過程(積立・取崩)がある

資産運用は、貯まったお金を運用するのではなく、お金を貯めるため に運用すると考えるとよいでしょう。運用の利回り、積立金額、積立 期間この3 つがわかれば、積み立てられる金額を試算することができ ます。そして、シニア世代になると資産運用には取り崩すという機能 が加わります。家計の不足分と相続を考えながらの運用になります。

一時に投資するといきなり応用編

資産運用という言葉を聞くと、“資産家が有り余るお金を殖やしていく” というイメージがあるかもしれません。しかし、あなたの家族で世帯主が 亡くなって、数千万円の保険金が手に入ったとしましょう。大切な保険金 なので、ずっと家で保管しておきますか?物騒だから、銀行に預けてお く?でも、銀行に預けてもほとんど利息は付きません。そうすると、投資 信託などを購入することが考えられます。これ立派な資産運用です。

しかしながら、この資産運用は、すでに「応用編」です。なぜなら、数 千万円を一度に投資するのは勇気がいります。勇気がいるだけでなく、市 場の動向に左右されやすくなります。購入するとき、その投資信託が割安 な水準にあればよいのですが、割高な水準にあると、運用成果をプラスに することが難しくなるからです。

コツコツ投資する基礎編

いきなり、「応用編」に行くのではなく、「基礎編」からスタートすることを考えてみましょう。投資信託における基礎編は、毎月少しずつ投資することです。一度に投資しないので、市場の割高・割安の波をあまり気にすることなく投資することができるからです。

最近では、100 円から投資を始められるネット証券もあります。どのよ うな投資信託に投資するのか、難しいことは後回しにして、先に投資を始 めてみてはいかがでしょう。月々100 円の投資でも、月々100 万円の投 資でも、手続きは同じです。そして、手数料などが同じであれば、運用の 結果も同じになります。それから、本格的に積立を開始するとよいでしょ う。本格的な積立の前に、考えておきたいことは、

  1. 積立の利回りはどの程度必要だろう
  2. 積立金額はいくらにしよう
  3. 積立期間はどの程度になるだろう
  4. 税制メリットを活用して投資する方法はあるだろうか

などです。

そして、1~4 までの内容がしっかり固まると、資産運用のシミュレーショ ン(試算)を行うことができるのです。下図 の三角形の頂点で示され る、積立金額を計算することができるのです。

この記事は、「投資信託エキスパートハンドブック」のリメイク版の一部です。