6月第4週の市況

2021/6/21    月

米国では、セントルイス連銀のブラード総裁が予定より金利の引き上げを早めるべきとコメントして市場は大きく下落した。VIX指数も4週間来の高値水準になる。米ドルも上昇。通常はドルの上昇により価格が下落する原油は、OPECが米国での生産の伸びが限定的と報じたことから価格はリバウンド。公益、金融といったセクターは2%以上値下がり。欧州市場でもFedのスタンスが予想以上に強硬なので銀行が3%近く値を下げ、原油価格が下落したためエネルギー関連も2.9%値下がり。ドイツでは5月の生産者物価が予想以上の上昇となりDAXは1.8%の値下がり。不良ローンの清算を発表したアイルランド銀行は7%の株安。デンマークの製薬会社Orphazymeはニーマンピック病の治療薬がFDAから認可が得られなかったことから44%株価下落。英国のTescoは四半期販売の伸びが低調で4.1%株安に

2021/6/22    火

米国市場では株式指数は上昇。景気のバロメターにもなっている小型株中心のRussell2000とダウの輸送指数は、いずれも、2%と1.9%と大きく上昇。バリュー株が1.9%上昇し、グロース株の0.9%を上回った。マイクロソフトは1.2%上昇し史上最高値を更新。中国政府が取り締まりを強化したことから暗号資産関連は値下がり。モデルナは、新型コロナウィルスワクチンの製造ラインを新たに2つ増設し、株価は4.5%上昇。欧州市場では、ECBのラガルド総裁が今年の成長に対して楽観的な見通しを示すとともに、緩和的な金融政策は維持するとコメントし市場は上昇。自動車と化学が上昇。英国の小売り第4位のMorriosonsはプライベート・エクイティからの55億ポンドでの買収提案を拒否し、株価は34.6%上昇。ライバルのTesco、Sainsburyも、それぞれ、1.7%と3.8%上昇。ドイツの製薬会社CureVacはインサイダー取引の疑いで当局から査察を受け、10.5%下落

2021/6/23    水

米国では、パウエルFRB議長が早期に金利を上げることはないと議会で証言。これを受けて、マイクロソフト、Amazon、Facebook、アップルなどの銘柄が1%以上上昇し、NASDAQは史上最高値を更新。GameStopは株価の上昇を見越して10億ドルの新株発行を公表し株価は10%上昇。Sanderson Farmsは売却を検討していると報じられ株価は10%上昇。また、EUが追加に1億5千本のワクチンの購入を決めたモデルナは6.3%株価上昇。欧州市場では、鉱業、エネルギー、化学などがけん引して市場は上昇。パウエルFRB議長の発言前に銀行や産業株が上昇。英国の保健福祉相がワクチンを完全に摂取した人に対して規制を緩和することを明言し旅行・レジャー株が0.5%上昇

2021/6/24    木

米国市場では株価が上昇。NASDAQは、パウエルFRB議長のコメントに反応して株価を上げたTeslaにけん引されて大きく上昇。Nividia、Facebookも上昇。Markitの米国のPMIは予想を超える水準に上昇。公益や素材といったセクターは値下がり。電気・水力自動車製造のNikola Corpは中西部で水力発電を行うWabash Valley Resourcesに5億ドルを投資することを公表し株価は4.3%上昇。欧州市場ではインフレ懸念から株価下落。エルメスやカーリングはHSBCが格付けを落としたために株価下落。アイルランド銀行は政府が保有株式の一部を売却したことから株価下落

2021/6/25    金

米国市場では、NASDAQとSP500が史上最高値を更新し、ダウも1%程度上昇。第1四半期のGDP成長が年率で6.2%となったことが報じられた。キャタピラーやボーイングは2%以上上昇。CEOのマスク氏がStarlinkへの投資計画を公表したTeslaは3.5%の上昇。PaypalやFacebookといった企業も1%以上値を上げ、マイクロソフトは0.5%株価が上昇し時価総額が初めて2兆ドルを突破。欧州市場では、金融、小売り、銀行がけん引して市場は上昇。ドイツの景況感指数Ifoが予想以上の上昇となったことからDAXは0.9%の値上がり。イングランド銀行が金利を維持し、インフレ率の上昇が3%を超えることがあっても一過性のものであるとコメント。英国の株式指数FTSEは0.6%上昇。
 

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グロース株とバリュー株~その2

(前半部分はこちら)

バリュー株とは、グロース株の反対と考えるとわかりやすい。将来の成長はあまり期待できない。だから、現在の利益の相当部分を配当として還元する。世界的に見れば、コカ・コーラやエクソンモービルなどがバリュー株に分類される。バリュー株は、本体も成熟したビジネスをしている企業が多く、直近1年くらいの配当に重きが置かれるので、グロース株に比べて値動きの幅は小さい。つまり、リスクは低い。インフレになっても、グロース株ほど影響を受けない

バリュー株とグロース株の特徴が理解できると、バリュー株投資とグロース株投資の意味が理解できるグロース株投資とは、将来の企業の成長に投資することである。成長を見誤ると投資は失敗する。今から20年ほど前、筆者は証券アナリスト向けの研修に参加したことを覚えている。そのときの分析対象は、アマゾンであった。「アマゾンは10年先に大化けしている企業になっていると思うか」という課題が出されて、私の回答は、「NO」であった。結果は、ご承知の通り、アマゾンは世界を代表する大企業になった。グロース株投資のアナリストとしては、筆者は失格ということになる。

バリュー株投資は、その企業の適正価格を算出し、現在の株価がその価格以下であれば買い、以上であれば売りという投資スタイルである。ここで、大切なのは適正価格をどのようにして算出するかということである。アクティブ運用の投資信託などの目論見書に、「個別企業の適正価格を分析して・・・」というような記述があればバリュー株投資ということがわかる。

正確な統計情報があるわけではないが、アマチュアの投資家の方はグロース株投資プロの投資家の方はバリュー株投資が多いように思われる。

株式投資で大切なことは、その企業の何に投資しているのかを意識することである。その会社の成長に投資している(グロース株)のか、その会社の評価に投資している(バリュー株)のかということである。トヨタ自動車に投資して、株価の急成長を求めるのはナンセンスである。上場したばかりの企業に安定を求めるのもナンセンスである。

経済が回復してくると、それに先行して株式市場は上昇する。そして、経済が好景気になると、株式市場は右肩上がりで上昇するというより、上下動を繰り返すことが多い。そのようなときに、着目してほしいのが、グロース株・バリュー株の相対的な動きである。

この記事は、週刊インシュアランスに掲載されたものを、出版社の許可を得て転載したものです。保険関係者に好評の生命保険統計号もこちらからご購入いただけます。