市場の取引価格は絶対的なものではない

インデックスは市場全体を表していない

パッシブ(インデックス)運用は概念としてはとても魅力的な方法です。しかし、パッシブ運用を実現するには、市場インデックスが必要になります。ところで、この市場インデックスは市場全体を代表するわけではありません。そのため、どうしてもアクティブ運用の要素が残ってしまうのです。

パッシブ運用は魅力的だが…

アクティブ運用は、パッシブ(インデックス)運用に勝てません。なぜなら、アクティブ運用はインデックス運用に比べて信託報酬などのコストが高いから。長期運用を考えるとこのコストの差がボディブローのように効いてきて、結局、コストを差し引いた運用成績を比較すると、ほとんどの場合、インデックス運用が優っているという主張です。

この話は正解です。ただし、市場全体をカバーしているインデックスであるという前提条件が必要です。

市場を細分化するとアクティブ運用

昨今、市場の一部を取り出したようなインデックスがたくさん作られています。例えば、TOPIX(東証株価指数)でいうなら、TOPIXの規模別指数、TOPIX業種別指数などのサブインデックスがこれに該当します。ETFやETNといった上場投資信託(証券)が発達する中で、市場を細分化した指数が整備されてきたのです。

サブインデックスに連動したETFに投資したいときはどういうときでしょう?例えば、世界的な不況から回復過程にあるので、耐久財分野の株式が伸びそうだという判断で、自動車・輸送機のサブインデックスに連動するETFを購入する。一方、市場が冷え込みそうになったときは、自動車関連のETFを売却して、内需関連の堅調な業種、電力・ガスや医薬品などの分野に連動したETFを購入する。サブインデックスに連動するETFやETNを使うと、どうしてもこういった感じの運用になってしまいます。

ところで、こういった運用はインデックス運用でしょうか?いいえ、違います。景気の変動に応じて機動的に業種配分を変動させるアクティブ運用です。

すべての市場をカバーする市場インデックスはない

本当のインデックス運用は、日本株式ならTOPIXや日経平均株価などにトラック(連動)させている運用でしょう。さらに、世界的に考えれば、世界の株式や債券、それに、代替投資などすべてにトラックさせていること。そのような運用を、長期間続けていることが本当のインデックス運用なのです。

そんなカバー範囲の広いインデックスはあり得ない?そのとおり、パッシブ運用とインデックス運用は厳密には違うのです。パッシブ運用という概念は、あくまでも概念で、インデックス運用というのはその実現可能解のようなものです。

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「バリュエーション」と「ファンダメンタルズ」

ドルコスト平均法だけで大丈夫!?

「バリュエーション」と「ファンダメンタルズ」

ファンダメンタルズとバリュエーションは株価の表と裏

株式の本源的な価値を分析することをファンダメンタルズ分析といいます。一方、バリュエーションとは投資家が思う株式の価値の収束点のことです。

本来であればこの2つの価格は一致するはずなのですが、実際の市場では一致することはほとんどありません。

「バリュエーション」と「ファンダメンタルズ」

株式関連のニュースを見ていると、「バリュエーション」という言葉と、「ファンダメンタル(ズ)」という言葉が出てきます。それぞれ、「Valuation」、「Fundamentals」という英語なのですが、直訳すると、「評価」、「基本」となります。

「バリュエーション」はその株式の「評価」ということです。評価が高いということは人気が高いということを意味します。株式のレポートで、『バリュエーションの観点から売却した』と書いてあると、『人気が出すぎて割高になったので売却した』という意味になります。

「ファンダメンタルズ」は、その株式の本来の価値という意味です。業績や業界内でのポジションなどを勘案して企業価値を求めて、それに基づいて計算した株価を指すことが多いです。株式のレポートで、『ファンダメンタルズの改善が期待できるために・・・』と書いてあれば、売上高の好転や営業利益の回復など、会社の業績そのものがよくなるということを意味しています。

「バリュエーション」と「ファンダメンタルズ」の狭間で動く株価

ところで、実際の株価は、「バリュエーション」と「ファンダメンタルズ」の狭間で動いています。ファンダメンタルズが改善するまでじっと待っている投資家はいません。売上げが2倍になった企業の株価は、その発表がある前に上がってしまいます。だから、投資家はその企業を継続的に値踏みしています。それが、バリュエーション、企業評価です。

バリュエーションの内容は投資家によってまちまちです。まちまちの段階では株価にあまり影響を与えません。しかし、投資家のバリュエーションにあるトレンド(傾向)が生まれるとそれは株価に影響を及ぼします。

株価水準を測るための基準が必要

負のトレンドが生まれると、株価にマイナスの圧力がかかることになります。ここで投資家に差が出ます。ファンダメンタルズの話ができる人にとって、株価の基準は自分で推し量った株価ということになります。できない人にとって、株価の基準は他人の評価の平均ということになります。

負のトレンドが発生したときに、“分散投資”や“長期投資”を話しても適切な説明はできません。必要なのはなぜ負のトレンドが発生したのかその理由の説明と適正な株価水準の説明になるでしょう。

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