外貨建て保険かファンドか?

退職したら退職金を10年程度使わずにおいておこうと思っています。このとき、外貨建て保険などで運用したほうがよいのでしょうか。それとも、ファンドを購入したほうがよいのでしょうか?

運用を考えているのであれば答えはファンドになる。外貨建て保険であれ、変額保険であれ、運用の部分だけを取り出して考えるとファンドに勝てないからである。

その理由は、図「運用に充てられるお金が異なる」を見ればわかる。仮にファンドと変額保険が同じ運用をしていたとしょう。運用に充てられるお金が、ファンドと保険では異なる。保険は保険会社で徴収する保険関係の費用(保険会社の手数料と保険の保障に充てる費用)が発生する。だから運用として考えた場合、ファンドのほうが効率がよい

図 運用に充てられるお金が異なる

資産運用の9割はセットアロケーションで決まる?

資産運用の運用成果の9割はアセットアロケーション(資産配分)で決まる?

Q 「資産運用の運用成果の9割はアセットアロケーション(資産配分)で決まる」といわれていますが、どのようなアセットアロケーションを心がければよいのでしょうか?

資産運用の運用成果の9割はアセットアロケーション(資産配分)で決まるわけではない。だから、この質問への回答は、「質問が間違っている」というのが回答になる。

「アクティブ運用のファンドの9(8)割はベンチマークで説明される」といわれているのは確かなのだが、その対象となるのは、この質問の中にある運用成果(リターン)ではなく、リスクである。図を参照していただくと理解できる。ファンドもベンチマークも、毎月価格が変動する。この変動のことがリターン(騰落率)である。

(月次で考えると)数か月リターンの変動の幅がリスク(標準偏差)である。そして、ファンドのリスクの9割は、ベンチマークのリスクで説明できるというのが指摘されている内容である。リターンの9割ではなく、リスクの9割というのが正解である。

ところで、運用するマネージャー側から考えるとこれも違う。通常のアクティブ運用であれば、ベンチマークと9割程度連動するように運用しているのである。9割程度連動させながら、ベンチマークを上回るパフォーマンスを上げることがアクティブ運用のマネージャーに課せられた使命なのである。9割の話は、因果関係が逆になって伝わっているのである。

アセットアロケーションが大切であることは否定しないが、間違った風説に惑わされないようにしたいものである。

図 何の9割がベンチマークで説明できるのか