世界8資産ファンド 分配コース【世界組曲】を分析する❷

世界8資産ファンド 分配コース【世界組曲】を分析する❶より

積立投資を前提とした運用分析

ところで、これまでのファンドの運用成果分析は、一括してお金を投資した場合のものであった。しかし、私たちは、ドルコスト平均法の効果を最大化するために、毎月定額の投資をしましょうとお話しする。この場合、運用成果はどのようになるだろう

図表4 毎月積立の試算結果

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図表4では、2006年8月から2016年8月まで、毎月積立をした試算結果が表示されている。評価金額(a)はその日時点のファンドの時価、積立金額累計(b)はそれまでに投資した金額の累計額を表示している。なお、購入時手数料は3.24%を見込んだ計算になっている。元本成長率は、評価金額を積立金額累計で割ったものであり、100%をこえていれば損をしていないことを意味している。

年間分配金額は、保有している口数に応じた分配金額を試算したものである。ここで、分配金に対して平成24年までは10%、平成25年は10.147%、それ以降は20.315%の税率で課税されることを想定している。年間分配金額(c)を、評価金額(a)で割ったものが、税金考慮後の分配金利回りということになる。

図表5 毎月積立の場合のファンドの評価

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図表5は、図表4をグラフにしたものである。面グラフは、資産の積立状況を表しており、折れ線グラフは、毎年の分配金利回りを表している。税金を考慮しても2%前後、ファンドの基準価額が落ち込んでいる(市場がよくない)時には5%以上の分配金利回りが発生していることになり、預貯金などの金利と比較するとファンドの利回りの魅力が際立つ結果となっている。

図表6 毎月積立の場合のファンドの評価

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図表6は、図表4の分配金利回りとTOPIX騰落率を比較したものである。どちらの利回りがよいですかと投資家に聞くと、おそらくファンドを選択する人が大半であろう。毎月分配金型のファンドは、「収益の大半を分配金とするため、投資家は分配金を受け取るときに税金を負担することになり、資産の効果的な積み上げの観点から好ましくない」といわれることも多いが、預貯金と比較するのであれば、十分に魅力的な投資先といえるのではないだろうか。

図表7 効果的な投資のために

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図表7は、NISA(少額投資非課税制度)とノーロード(購入時手数料が)について比較したものである。NISA(少額投資非課税制度)を採用するのであれば分配金に対する課税はゼロとなるため受け取る分配金が増える。また、ノーロードの場合、投資した金額が全額ファンドの買い付けに投入されるため保有口数が増える効果がある。いずれの場合も、投資家にとって有利な選択になる。このファンドに投資してほかの条件が同じであれば、 NISAを使って、購入時手数料がゼロの販売会社で購入したほうが投資効率はよくなる

まとめ

  • 世界8資産ファンド 分配コース【世界組曲】は、最近10年間で比較すると、日本株式全体に投資するより、よい運用成果を挙げていた
  • 毎月一定額を積み立てる方法(定時定額購入)を採っていれば、着実な元本の成長と、預貯金を上回る収益分配金を受け取ることができた
  • 最近10年間で比較すると、 世界8資産ファンド 分配コース【世界組曲】は、預貯金より魅力的な運用成果を挙げてきた
  • 運用成果をさらに向上させるには、NISA(少額投資非課税制度)を活用し、購入時手数料がゼロの販売会社を選択すればよい

 ご参考

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世界8資産ファンド 分配コース【世界組曲】を分析する❶

世界8資産ファンド 分配コース【世界組曲】を分析する

みずほ投信投資顧問が設定・運用する世界8資産ファンド(分配コース)というファンドがある。ファンドの評価で有名なモーニングスターからは最上位の★5つの評価を受けている。ところで、実際、このファンドに投資している投資家は満足しているのだろうか?通常のファンドの評価からはじめて、少し通常とは異なる方法も加味してこのファンドの運用を評価してみたい。

通常の運用分析

バランス型ファンド&毎月分配型

このファンドは、世界の株式や債券、あるいは、REIT(不動産)などにも投資するバランス型ファンドである。そして、もう一つの特徴は毎月分配型であること。つまり、毎月ファンドの収益分配金が支払われる。ほかに、安定コース、積極コースも存在するが、純資産残高が最も大きいのは分配コースである。

図表1 10年間の運用をTOPIXと比較する

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図表1は、代表的な日本の株式指数TOPIX(東証株価指数)とこのファンドの基準価額の10年間の推移を表示したものである。縦軸は第1軸(左側)がファンドの基準価額、第2軸(右側)がTOPIXを表している。また、ファンドは分配金があるので、通常の基準価額に加えて、分配金を考慮した基準価額(分配金込基準価額)も表示している。ファンドがベンチマークを明示しているのであれば、月次レポートなどでベンチマークとの比較を表示してあるが、このファンドでは比較されていない。

図表2 期間騰落率でファンドとTOPIXと比較する

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図表2は、ファンドとTOPIXについて期間騰落率を比較したものである。期間騰落率とは、基準価額などが一定の期間で何%上がったり下がったりしたのかを表すものである。ここでは1年という期間で区切って、ファンドとTOPIXの期間騰落率を比較してある。

2008年については、ファンドは約4割ほど値を下げたが、TOPIXは半分以上値を下げる結果となっている。リーマンショックの影響によるものである。2013年には、TOPIXは4割以上値を上げている。これは民主党政権から自民党政権に政権が交代しアベノミクスの効果が表れた年である。ファンドも2割ほど値を上げているが、TOPIXには及ばない結果となっている。

なお、期間騰落率も、通常、ファンドのレポートは掲載されていない。

図表3 リスクとリターンとシャープレシオで評価する

指標 ファンド TOPIX
期待利回り 3.5% -1.6%
予想リスク 12.2% 23.8%
リスクフリーレート 0.5% 0.5%
シャープレシオ 0.24 -0.09

図表3はグラフではなく数字を使ってファンドとTOPIXを比較している。ファンドは収益分配金があるので、収益分配金を加味した日次騰落率を計算し、TOPIXも日次騰落率を計算し、数値を250倍して年換算化している。これが図表3の期待収益率である。予想リスクは、日次騰落率の標準偏差を2500.5倍して年換算化している。シャープレシオは、予想リスクと期待収益率を一度に比較するための指標である。シャープレシオの計算は、「(期待収益率-リスクフリーレート)÷予想リスク」となる。くわしくはこちらを参照。

シャープレシオで比較しても、日本株式全体に投資するより、ファンドに投資していた方が効率的であった(少ないリスクで高いリターンを得ることができた)という結論になる。シャープレシオなどについては、モーニングスターなどが計算結果を開示している。

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