第313号 May 12, 2020

ライフプラン分析~30歳・世帯【その1】

現在の家計からライフプラン分析を始めます

ご主人が30歳の家族のライフプラン分析を行います。

世帯主 川口 拓也さん(30歳) 配偶者 美咲さん(28歳) お子さま 夕夏さん(0歳)

最初に、現在の家計について確認しておきます。現在、美咲さんはお仕事を止めて専業主婦です。拓也さんの収入は手取りで毎月30万円、ボーナスは年間で65万円と仮定します。

支出は、下記のようになっているものと仮定します。

図表1 家計の内訳

支出の大きな項目を見ると、食費は7万円になっています。世帯主が30代の平均的な食費より少し割高になっています。住居費は12万円。住居費は平均値は少し修正が必要なのですが、やはり、一番金額が高くなっています。そのほか、通信交通費で4万円。平均と比べて少し低い金額になっています。

図表2 ライフプランニング統合ソフト「FP-MIRAI」家計簿から作成したキャッシュフロー表【簡易版】

このキャッシュフロー表は、ライフプランニング統合ソフト「FP-MIRAI」で作成した、簡易的なキャッシュフロー表です。

キャッシュフロー表自体は、もっと長期間のもので、その世帯に合わせてカスタマイズされたものとなるのが一般的ですが、この表は、家計簿と本格的なキャッシュフロー表の中間のような存在だと考えてください。

図表3 家計簿からキャッシュフロー表へ

家計簿の作成に熱心になりすぎないように注意しましょう。家計簿は出発点であり、ゴールではありません。ゴールはあくまで、ライフプラン分析です。

本格的なキャッシュフロー表を作成します

簡易版でない、ライフプランイング統合ソフト「FP-MIRAI」によるキャッシュフロー表を作成すると図表4のようになります。図表3では時間軸が横軸でしたが、図表4では時間軸は縦軸になっています。

4 本格的なキャッシュフロー表

ライフプランニング統合ソフト「FP-MIRAI」では、同時に図表5のようなグラフを作成します。このグラフは年間の収支と金融資産残高の推移をグラフにしたものです。なぜ、金融資産と表現しているのかといえば、後々、不動産などの現物資産も分析できるようにしてあるからです。

図表5 収支・金融資産グラフ

グラフを作成する理由は、『ぱっと見てわかる』からです。キャッシュフロー表は一度作成してそれで終わりというものではありません。そのために、必要になることは、ライフイベントを時間を追って確認することです。同時に、家族の年齢も確認します。この2つを同時に行ってみると、次のステップで考えることが明確になります。

図表6 ライフイベントを時間軸を追って確認する

図5を見ると、この10年間で、教育費は36万円で全く変わっていません。子どもが生まれてから、小学校4年生になるまでずっと教育費が同じだというのは、少し違和感があります。2019年には、『幼児教育・保育の無償化』が始まりましたし、2020年には、『私立高等学校の授業料の実質無償化』『高等教育の修学支援新制度』が始まり、教育を取り巻く費用は大きく変わりました。ただし、いずれの制度も、世帯の所得水準や子どもの数、お住まいの地域によって金額が異なります。

7 教育にかかる費用で考えたいこと

 

0~2歳児

3~5歳児

小学生

収入面

児童手当、児童扶養手当、児童育成手当

市町村による保育料補助など

児童手当、児童扶養手当、児童育成手当など

 

費用面

 

幼児教育・保育の無償化

 

さらに、気を付けておきたいことは、実際の年齢と学校等に入園・進学するときの(教育)年齢、さらに、キャッシュフロー表に掲載される年齢の関係です。結論から申し上げれば、教育関係で使われる年齢と、キャッシュフロー表の年齢は1歳ずれることになります。したがって、幼児教育・保育の無償化の対象となる3~5歳児は、キャッシュフロー表上では4~6歳として表示されるのです。

8 本格的なキャッシュフロー表

受給できる割合が高い児童手当を満額受領することを想定して教育費を修正してみましょう。図表9のようになります。「教育費がかからない」と定義するのではなく、「児童手当という追加的な収入があった」と認識するようにします。ライフプランニング統合ソフト「FP-MIRAI」では簡単に処理することができます。

9 教育費の修正

 

10 ライフプランニング統合ソフト「FP-MIRAI」の修正

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