資産運用の運用成果の9割はアセットアロケーション(資産配分)で決まる?

Q 「資産運用の運用成果の9割はアセットアロケーション(資産配分)で決まる」といわれていますが、どのようなアセットアロケーションを心がければよいのでしょうか?

資産運用の運用成果の9割はアセットアロケーション(資産配分)で決まるわけではない。だから、この質問への回答は、「質問が間違っている」というのが回答になる。

「アクティブ運用のファンドの9(8)割はベンチマークで説明される」といわれているのは確かなのだが、その対象となるのは、この質問の中にある運用成果(リターン)ではなく、リスクである。図を参照していただくと理解できる。ファンドもベンチマークも、毎月価格が変動する。この変動のことがリターン(騰落率)である。

(月次で考えると)数か月リターンの変動の幅がリスク(標準偏差)である。そして、ファンドのリスクの9割は、ベンチマークのリスクで説明できるというのが指摘されている内容である。リターンの9割ではなく、リスクの9割というのが正解である。

ところで、運用するマネージャー側から考えるとこれも違う。通常のアクティブ運用であれば、ベンチマークと9割程度連動するように運用しているのである。9割程度連動させながら、ベンチマークを上回るパフォーマンスを上げることがアクティブ運用のマネージャーに課せられた使命なのである。9割の話は、因果関係が逆になって伝わっているのである。

アセットアロケーションが大切であることは否定しないが、間違った風説に惑わされないようにしたいものである。

図 何の9割がベンチマークで説明できるのか

6月第4週の市況

先週の市況はこちら

2017/6/19    月

米国市場では住宅統計と消費者信頼感指数が予想以下となったが、アマゾンがWhole Foods Marketの買収で合意したと公表しAmazonは2.5%値を上げ、Whole Foodsは29%値を上げたが、食品小売り指数は5.1%値を下げた。金融緩和を維持した日銀の政策会合の決定はFedの会合と好対照となり、円は値を下げた

2017/6/20    火

米国ではアップル、マイクロンテクノロジーなど大手テクノロジー株が大幅にリバウンド。Fedの高官が利上げにタカ派的なコメントを発し、米ドルとイールドは上昇。MSCIが中国の国内向け株式(A株式)をグローバル指数に入れるかどうか、火曜日の市場終了後に発表。香港株は先走って値上がり。欧州ではマクロン大統領が議会の過半を制し、BNPパリバ、ソシエテジェネラルなど大手銀行株を中心にフランス株式が上昇

2017/6/21    水

原油価格が43ドル以下になり、欧米市場で原油価格と、エネルギー関連株が軟化。米国では消費耐久財株や工業株、通信株などが軒並み値を下げ大幅な値下がりとなった。欧州でも資源関連株に引きずられて市場は軟調

2017/6/22    木

米国の在庫が高水準でリビアの生産が再開される中、原油価格が43ドル以下に下落。エネルギー関連株が2か月来の安値を付け、トランプ政権が薬価へのスタンスを緩和させその結果バイオ関連株の株価上昇でも相殺できず米国市場は下落。欧州では、英国の銀行であるProvident Financialが大きく値を下げる、一方で、不良債権問題に進展があったイタリアの銀行株が上昇

2017/6/23    金

原油価格は相変わらず安値で低迷しており米国市場では43ドルを切る水準。共和党から提出されたオバマケア廃止のための法案は4年で500億ドルの追加出費が必要になるものであった。そのためヘルスケア関連株が上昇。イールドが低下して金融株は軟化したため、SP500は値を下げ、NASDAQは上昇。欧州市場ではノバルティスがけん引してヘルスケア関連株が堅調となり市場を下支え