第318号 Jun 14, 2020

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ライフプラン分析~30歳・世帯【その6】

世帯の情報

ご主人が30歳の家族のライフプラン分析です。

世帯主 川口 拓也さん(30歳) 配偶者 美咲さん(28歳) お子さま 夕夏さん(0歳)

公的(老齢)年金

65歳以降のキャッシュフロー表を作成するときに大切になるのが公的年金です。その中でも大切になってくるのは老齢年金です。公的年金は一定の年齢に達したとき以降受け取る老齢年金のほかに、障害を持った場合に受け取れる障害年金、世帯主が亡くなったときに受け取れる遺族年金があります。障害年金や遺族年金も大切な年金なのですが、最初に、知っておきたいのは老齢年金です。

公的年金は、一般的に2階建てといわれています。図表34を参考にしてください。1階部分は国民年金です。国民年金は基礎年金ともいわれています。国民年金は40年間、もれなく保険料を支払っていると年額78万1700円の年金を65歳から受け取ることができます。覚えておいていただきたいことは、金額が定額であるということ。そして、この金額は毎年更新されるということです。

さて、30歳の川口さんが将来受け取る年金を見積もるとき、いくらと見積もればよいのでしょう?実は、答えはありません。30年後の78万1700円がどれほどの価値があるのかを考えると、金額は少し上乗せされて考えるべきでしょう。

図表34 公的年金のしくみと年金額の決まり方

2階部分は、厚生年金保険が該当します。2階部分がある人は、第2号被保険者だけです。川口様のお宅の場合、現在働いているのはご主人の拓也様だけです。ご主人の拓也様だけが第2号被保険者となっています。美咲様は、所得のない第2号被保険者の配偶者(被扶養配偶者といいます)になります。

厚生年金保険で知っておきたいことは、老齢厚生年金の年金額は、働いていた期間や給与によって変わってくるということです。現在の基準で計算することは可能ですが、拓也様が65歳に達する35年後の金額はきっと変わっているでしょう。基礎年金と同じですね。

公的年金の概要【日本年金機構】

年金を受け取るのは65歳??

老齢年金の受取り開始年齢は、以前は60歳でした。その後、法律が改正されて、65歳になりました。といっても、ある日を境に、「あなたは60歳から、あなたは65歳から」というわけにはいきませんでしたので、数十年かけて、年金の開始年齢を65歳に引き上げたのです。ちなみに、まだ引き上げ中です。これが、現在の状態。

現在、財務省や厚生労働省を中心に、この年齢を引き上げることが検討されています。人生100年時代で、65歳から年金を受け取り始めると…ちょっと年金を受け取る期間が長すぎるということですね。

公的年金を予想してみよう

拓也様の国民年金については、現在の給付金額(78万1700円)を1%の利回りで増やした金額とします。つまり、

78万1700円×(1+0.01)35=110万7358円

とします。現在、キャッシュフロー表ではインフレ率を2%としていますが、年金の増加分はそれに満たないという仮定です。金額は大きくなっていますが、実質的には減額されている見積もりです。

美咲様の国民年金についても、同じように考えます。

78万1700円×(1+0.01)37=112万9616円

拓也様の厚生年金保険についても考えてみましょう。図表35のように計算できます。平均標準報酬額を45万円と仮定し、被保険者の期間を492か月(41年)と仮定しています。

図表35 厚生年金保険の年金額の試算

キャッシュフロー表に反映させる金額は

127万9811円×(1+0.01)35=181万2983円

になります。

キャッシュフロー表を作成するときに仮定は、図表36のようになります。金額を単純に合計すると300万円に少し足りないくらいの水準になることがわかります。

図表36 夫婦で受け取るの年金額の試算

図表36に示した年金額を受け取ると仮定して、キャッシュフロー表を計算し直してみましょう。65歳以降の収支のマイナスが緩和され、資産の減少が緩やかになりますが資産が減少することに変わりはありません。

図表37 キャッシュフロー表の計算結果

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所得代替率

「所得代替率」とは、年金を受け取り始める時点(65歳)における年金額が、現役世代の手取り収入額(ボーナス込み)と比較してどのくらいの割合か、を示すものです。この所得代替率は現在60%程度ですが、政府は2046年には50%程度に引き下げると見積もっています。名目上の金額が増えても、実質的な金額が増えなければ所得代替率は下がっていくことになります。

所得代替率については、立憲民主党の長妻議員が衆議院で質問しています。

年金制度の所得代替率に関する質問主意書

質問に対する答弁書も公開されていますが、年金で生活できるか、政府も真正面から回答できていないように思えます。

年金制度の所得代替率に関する答弁書

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