ホントの保険 ~2016年3月

~2016年3月

決算日

3月31日は保険会社の決算日です。保険会社については、3月末の決算が法律で強制されています。

決算の情報は3か月以内に明らかになります。これは法人税の申告期限が3か月だからです。ちなみに、通常の会社は、決算の時期が法律で決まっているわけではありませんし、法人税の申告期限は2か月です。保険会社は少し特殊です。

そして、保険契約者にとっても重要な情報が含まれる決算の内容は、非上場会社であっても、原則、開示されます。これも、法令等によって開示が求められているからです。

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保険商品の発売日

新しい保険商品が発売されるとき、月の初めの1日ではなく、2日から発売されることがほとんどです。

なぜなら、1日は、前月の月払契約の契約日に指定されているため、この日から新しい商品を販売すると、古い商品と新しい商品が混在してしまうことになるからです。

契約日というととても大切な日のように思えますが、実際は、保険契約をシステム上に登録するための処理日なのです。

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保険会社の直販社員

保険会社には直販社員が存在します。日本の大手保険会社であれば数万人の直販社員を抱えています。

直販社員は、ほとんどの場合、1社専属になっています。1社専属とは、所属している保険会社の商品のみ取り扱うという意味です。

直販社員は営業成績がよくないとやめていくしくみになっています。逆に、営業成績がよいと、どんなに年配になっても保険会社がやめさせてくれません。

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保険のコスト

私たちが支払う保険料には、会社の経費となる部分が含まれています。この部分は、付加保険料といいます。

付加保険料はどの程度なの?という質問を受けます。ざっくりと答えられない場合が多いのです。

その理由は、付加保険料は、定額のコスト、保険料に比例するコスト、保険金額に比例するコストに細分化されるからです。保険料に比例する部分だけなら、「保険料に対して〇%」と回答できるのですが、3種類あるので「契約内容によります」というなんだかしっくりしない回答になることが多いのです。

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保険は長~い、おつきあい?

保険に加入しても、毎年、解約する人がいます。100名の方が保険に加入したとしましょう。もし、毎年10%ずつ解約したとすると、保険を継続している人は2年後には81名、そして、10年後には35%になってしまっています。

「保険は長いおつきあいです」といっても、おつきあいしている人は全体のごくわずかということに気づくでしょう。 保険会社が気にしている数値は2年後の数値です。じつは、この数値は金融庁に報告する義務があるので、できるだけ高い数値を維持しておきたいのです。だから、2年以内に解約したいというと、猛烈な引き留めに会うかもしれません。

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手数料は初年度が一番多い

保険の手数料は、新契約時にたくさん支払われます。新契約時とは、保険を締結した年ということです。

2年目以降は、手数料の額は極端に下がります。だから代理店は、保険を販売することにモチベーション(やる気)を感じるわけです。

ただし、保険契約が早く解約されてしまうと、手数料を戻入(れいにゅう)しなければなりません。これは困ります。だから、契約してから2年程度は解約されないように頑張る、これもモチベーション?です。

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保険会社は裁判が嫌い

消費者が保険会社を訴えたら、保険会社はどのような対応を採るでしょうか?

対応策はいくつか考えられますが、最終的な判決となるのは少ないのではないでしょうか。

理由は、判決までになってしまうと情報が公開されてしまうからです。後になっても、判決の情報を確認することができます。

一方、判決に至らずに和解になったとしましょう。情報は原則非公開です。時の経過とともに、SNSなどに書かれることも少なくなります。消費者から忘れてもらうために、判決を選ばないことは少なくありません。

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生命保険料控除はおばちゃんのおかげ

所得税の年末調整の時期になるとたくさんの証明書を提出します。生命保険の証明書たくさんありますね。

生命保険の所得控除の金額は、平成24年から拡大されました。 国にとって所得控除は税収の減少を招きますから、維持するのはもちろん拡大することはやめてほしいはずです。

それでも、どうして生命保険料控除だけ維持・拡大されているのかといえば、保険募集人(主力は、いわゆる保険のおばちゃん)が、毎年、数十万という署名を集めるからです。この毎年の努力があるおかげで、生命保険料控除は維持・拡大されています。

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共同募集

共同募集という言葉があります。複数の代理店が共同して保険契約を取り扱うしくみです。

Aさんの個人情報を代理店Bが持っていたとします。代理店Bが保険相談を受け付けるはウェブサイトを運営していたという状況を考えてください。でも、代理店Bは保険の販売自体は得意ではなかったとします。そのため、保険を販売する技術に長けている代理店Aに共同募集を持ちかけます。Aさんは保険に加入して、その際、保険会社から代理店に支払われる手数料は、代理店Aと代理店Bで分配する。これが共同募集です。

とても普及している制度ですが、消費者はその存在と実態をほとんど知りません。

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保険会社の利益(死差益)

保険はすべて、「予定」で作られています。人が亡くなる可能性もすべて予定です。だから、「実際」と「予定」には”ずれ”が生じます。

そして、この”ずれ”こそが、保険会社の損益(赤字・黒字)になります。そして、予定していた死亡保険金の支払いと、実際の死亡保険金の支払いの差額のことを死差益といいます。

保険会社が実際の死亡保険金の支払いを抑えることができれば黒字が大きくなり保険会社は潤います。そして、その次の段階として、予定する保険金の支払いを少なく見積もると、保険料の引き下げにつながります。でも、保険会社の監督官庁である金融庁は予定する保険金の支払いの引き下げに消極的です。

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保険料はすべて同じ?

「どこで加入しても保険料は同じ?」と聞かれることがあります。答えは「同じじゃありません」です。

勤務先の企業などを通じて加入した場合、少し保険料が安くなることが通常です。保険会社からすると、保険料を個別に徴収する手間を省けるので、その分保険料を安くしましょうという発想です。

現在では、「将来転職するかもしれない」、「それほど安くなるわけではない」、「会社にどのような保険に入っているのか知られるのが嫌」などの理由で、かつてほど会社経由の保険が重宝されているわけではないのかもしれません。

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自動更新

携帯電話の契約で2年ごとの自動更新が話題です。携帯を買い替えるとき、ちょうど2年ごとのタイミングで解約しないと違約金が取られてしまう。

じつは、保険にも自動更新があります。例えば、10年満了の定期保険で10年経過したら、自動的に10年延長される。契約年齢は上がりますので、通常保険料はアップします。保険料がアップするのはうれしくないと思えば、同時に減額を行えば保険料の調整はできます。

自動更新は、健康がどのような状態になっていても、同じ内容で保険を引き継ぐことができる権利なのです。

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減額

保険料の支払いを負担に感じたら、保険を減額することができます。

減額とは保険金額などを減らすことです。減らした分に応じて保険料は安くなります。保険金額を半分にすれば、原則、保険料も半分になるしくみです。

そして、減額というのは、基本的に保険契約者が減額を申し出れば、保険会社はそれに応じるようになっています。「保険金額が〇万円以上でないといけない」など、細かなルールは存在します(保険会社によって異なります)が、減額は、契約者の権利なのです。減額できるという権利を、使わないで持っているのです。

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保険料はすべて同じ?

「どこで加入しても保険料は同じ?」と聞かれることがあります。答えは「同じじゃありません」です。 勤務先の企業などを通じて加入した場合、少し保険料が安くなることが通常です。保険会社からすると、保険料を個別に徴収する手間を省けるので、その分保険料を安くしましょうという発想です。 現在では、「将来転職するかもしれない」、「それほど安くなるわけではない」、「会社にどのような保険に入っているのか知られるのが嫌」などの理由で、かつてほど会社経由の保険が重宝されているわけではないのかもしれません。

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不本意な下取り(転換)

私のところに相談があったのは、不本意な転換をさせられたけど、保険は解約したくないというものでした。

そこで、アドバイスしたのが保険の復旧です。なんだか、高速道路の工事みたいな言葉ですが、保険契約を元に戻すことを復旧といいます。 保険会社は復旧に容易に応じてくれません。なぜなら、保険募集人は保険の転換で、新契約と同じ程度の手数料を手にするからです。というわけで、復旧したいと思うのであれば、その保険を取り扱った人に連絡してもダメです。いきなり本社に連絡するのが正解です。

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保険の転換(下取り)

保険の下取り(転換)をするのであれば、どこかの部分だけを残しておくことはできなく、保険を丸ごと下取りする必要があります。

本格的な保険になるとたくさんの保障の集合になっていることがありますが、その一部だけを残して、一部だけを新たなものにすることはできません。

そうなってしまわないようにするためには、最初から、保険をいくつかに分けて加入しておくことです。保険に加入する手続きが一度で済むからという理由で、あれもこれも一つの保険に詰め込んでしまうと、あとで後悔することになってしまうということです。

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保険の手数料

保険に加入するとき、その保険を取り扱った保険代理店には、保険会社から手数料が支払われます。

初年度の保険料のうち半分以上は手数料という場合も珍しくありません。 手数料の水準は、保険の種類(よく儲かる保険は手数料の水準が高い)、代理店のランク(たくさん売る代理店は保険料の水準が高い)により決まります。

手数料の水準に法律上の規制があるわけではないのですが、現在、手数料を開示しようという動きがあるのも事実です。ぜひ、手数料を開示して、保険に加入するときの参考にしてほしいものです。

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保険の持ち主

保険の持ち主は誰か?普段はあまり考えたことがないかもしれませんが、時と場合によっては大切な話になります。

学資保険という保険があります。お父さんが保険契約者になって、保険料はお母さんの口座から引き落とされている。特に、問題があるわけではありません。

しかし、もし、お父さんとお母さんが離婚することになり、お子様はお母さんが引き取ることになったとしたら、この保険は誰のものになるのでしょう。 そのままにしておくと、お父さんの資産となってしまうというのが正解です。だれが保険の持ち主になるのか考えて保険に加入するとよいでしょう。

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売買される個人情報

インターネットのサイトから保険の無料相談の申込ができるサイトがあります。

しかし、こういったサイトでは情報を収集して、保険募集人(通常は、FPを名乗ります)に売却しているサイトがあることをご存知でしょうか。このしくみ自体は違法ではないのです。

数万円支払って情報を購入した、保険募集人が、FPを名乗って、あなたに連絡することになります。先にお金を支払っているので、投資した資金を改修しようと思います。これも当然。

公平中立なFPが、無料で、あなたのためにはたらくことはありません。

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逆選択

保険金をすぐに受け取れそうな人は、積極的に保険に加入しようとします。これを「逆選択」といいます。

逆選択の可能性が高い保険は、少ない保険料を払って、すぐに高額な保険金を受け取れる保険です。

保険の種類でいえば、定期保険や収入保障保険がこれに該当します。 そのため、こういった保険に加入しようとすると、保険に入るための告知がたくさん必要になります。反対に、年金保険や一時払終身保険は逆選択の可能性が低いので、ほとんど告知することなく保険に加入できます。

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年金の種類の変更

現在販売されている年金保険は、ほとんど、確定年金という年金の種類になっています。確定年金は、一定期間年金を受け取ることができるものです。

一方、公的年金(国民年金や厚生年金など)は終身年金が基本です。終身年金とは、生きている限り年金を受け取ることができるしくみです。

実は、年金の受け取りを開始する前であれば、民間の年金保険も終身年金に変更することが可能です。無料で保険の見直しができるこのタイミングを、ぜひ、逃さないようにしてください。

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予定利率が上がると

マイナス金利の導入により、予定利率(保険会社が約束する利回り)が引き下げられ、保険料が高くなるという指摘がされています。 詳しい説明は省略しますが、予定利率が下がると保険料が上がることは間違いではありません。

しかし、保険種類によってその値上がり具合には差異があります。一番影響を受けるのは、終身保険、年金保険など積立としての機能が大きな保険です。反対に、満期保険金のない10年程度の定期保険などはほとんど影響を受けないでしょう。

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月払保険料と年払保険料

保険料には、月払と年払、一時払などの払い方があります。でも、普通の人はほとんど月払。1年分まとめて支払えるケースは限られていますね。年払保険料は、月払保険料を12倍した金額より小さくなっています。早めに保険料を支払うメリットです。

どれだけ安くなるかは、予定利率によって決まっています。

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終身払保険料

生命保険には、保険期間が「終身(一生涯)」と定められたものがあります。そして、この場合に限り、保険料の払い方も、「終身」とすることができます。

「私もう90歳なのですが、がん保険の保険料を払い続けています。そして、保険料を支払い続けることが大変になってきたのです」。そんな相談を受けたことがあります。ご主人が「がん」で亡くなってからかなり高額ながん保険を掛けられていたそうです。

「減額することもできますよ」とアドバイスしました。

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学資保険

「子供が生まれたら学資保険に加入して・・・」、20年ほど前であればこの話は正しかったと思います。なぜなら、利回りは高かったですし、競合商品もそれほどありませんでした。

しかし、現在では、この選択は正しくありません。かつての魅力はすっかり色あせてしまっているからです。 そなれなのに、なぜ、学資保険が売られるのかといえば、学資保険は「ドアノッカー商品」となっているからです。学資保険で話をしてもらって、ほかの保険に話をすり替えるのがよくある手口です。

学資保険を考えるのであれば、預貯金や投資信託などと冷静に比較してみるとよいでしょう。

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医療保険

「どのくらいの医療保険に加入すればよいのですか?」と聞かれることが多いのですが、大企業のサラリーマンであれば、あまり医療保険に加入しなくてもよいと思います。公務員であれば、なおさら加入する必要はないかもしれません。 これは、公的医療保険との関係です。

公的医療保険は(特にサラリーマンにとって)とても手厚い保障内容になっているからです。医療保険を比較する前に、ご自分の加入している(国民)健康保険について調べてみるとよいかもしれません。

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保険会社が
不明

「亡くなった父親が保険に加入していたみたいだけど、どの保険会社かよくわからない」という相談を受けたことがあります。 そして、その回答は、「残念ながら全部の保険会社に連絡してみてください」というものです。

少し残念なことなのですが、協会などが取りまとめの窓口になるしくみにはなっていないのです。例外的に、東日本大震災のときには、生命保険協会が窓口になって、すべての会社に照会をかけていました。 通常でも同じようにしてほしいですよね。

このような状態にならないためにも、どの保険会社に加入しているのかだけは、エンディングノートなどに記入しておきましょう。

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保険会社の本社に連絡しよう

保険金を受け取ることになったとき、どこに連絡すればよいのでしょう?正解は、できるだけ保険会社の本社に連絡することです。

なぜか、それは支社や営業所に行くにしたがって、業務は営業活動(新契約の獲得)の比重が高くなるからです。結果的に、担当してくれる人は本社部門の社員との中継役になる可能性が高いのです。

銀行などの保険代理店に至っては、新契約以外の機能はありません。請求を受けたら、「保険会社に連絡してください」という回答になります。 。

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保険の
ボーナス

「10年ごとにボーナスが支払われます」とパンフレットに書かれていたら、うれしくなってしまいますよね。

お仕事であれば、ボーナスはご褒美というような感じです。 でも、保険の場合、ボーナスは積み立てておいたお金を引き出すというイメージが実態に近いものです。 ボーナスという言葉の響きを使った錯覚を誘っているといってもよいでしょう。パンフレットに書いてある言葉はうそではありませんが、ボーナスという言葉のイメージを使った心理戦のようなものですね。

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男性の方が保険料が高い?

『生命保険の保険料は男性の方が高い』と思われがちですが、女性の保険料が高い場合もあります。

人が亡くなると保険金を受け取ることができる終身保険などは、ほかの条件が同じであれば、男性の保険料が高くなります。 一方、生きていると受け取ることができる年金保険などは、男性より女性の保険料が高くなります。

なぜなら、女性は男性より長生きなので、受け取れる年金が増えるからです。年金の受け取りが多くなるなら保険料をあらかじめ高くしておく必要があるのです。

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