リスクは避けたいがカモになるのはもっと避けるべき

リスクは避けたいがカモになるのはもっと避けるべき

リスクを避けるためには、リスクをヘッジする必要があります。これには多くの場合、コストがかかります。このコストも避けたいがために、複雑な金融商品に手を出してしまう話が後を絶ちません。

普通の人はリスクが嫌い

普通の人であれば、だれでもリスクを嫌います。1年後に確実に5万円受け取れるA商品と、1年後上手くいけば10万円手に入るけど下手をすれば全くお金が手に入らないB商品。平均(期待値)を計算するとどちらも同じですが、ほとんどの人はA商品を選ぶでしょう。
さらに、1年後上手くいけば20万円手に入り、下手をすると10万円支払わなくてはならないC商品があったとします。普通の人は、B商品より、C商品をさらに嫌います。
普通の人は、将来の受取り金額(ペイオフ)が確定していないものより、ペイオフが確定しているものを好みます。そして、ペイオフがマイナスになることはどうしても避けたいと考えます。

リスクを減らす

そこで、私たちはリスクを減らそうと考えます。一番良いのはリスクのあるものに手を出さないこと、そして、消すことのできないリスクはヘッジすることです。「リスクをヘッジする」とは、リスクをなくしてしまうことです。
外貨建ての商品を購入してしまったときは、為替のリスクがあります。為替リスクをヘッジしようとすると、将来の為替レートを予約することで可能になります。世帯主に万が一のことがあったら、残された家族は生活できなくなってしまうかもしれません。だから、生命保険に加入していざというときに保険金が入ってくるようにするのです。これもヘッジです。

ヘッジにはコストがかかる

リスクをヘッジすることは大切なのですが、もっと大切なことは、ヘッジにはお金がかかるということを知っておくことです。
為替予約には多くの場合、コストがかかります。保険に加入すると保険料を支払わなければなりません。保険料は、英語でpremium(プレミアム)といいます。普通の生活では必要ないのに、保険に加入したから割増しで支払うお金が保険料なのです。ヘッジを掛け過ぎると、保険料が雪だるま式に積み重なって身動きが取れなくなります。

誰がカモになっているのか

「ヘッジはしたいがコストがかかる」。そう考えているところに、ある人が話を持ってきます。『この商品は、リスクはほとんどないんだけど、毎年10%の配当があるので魅力だよ』。あなたは、なぜ10%もの配当があるのかわかるでしょうか?
欧米には、「ポーカーをはじめて20分経っても誰がカモになっているのかわからなければ、それは自分がカモになっている」という例え話があるそうです。

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ライフプランニングに役立つ資産運用の考え方(リメイク中)

金融商品とかしこくつき合うには

金融商品は目的を達成する手段にすぎない

金融商品とかしこくつき合う方法は、金融商品そのものを目的として考えるのではなく、ライフプランなどの目的を達成する手段として考えることです。言葉を換えれば、ニーズに適さない商品は不要ということになります。

金融商品の役割

金融商品について肝に銘じてほしいことは、

  1. 支払うものが少なくて、受取るものが多い商品はない
  2. 受取金額が変動するものは、変動しないものより敬遠される

ということです。
この言葉をほかの言葉に置き換えると

  1. リスクとリターンは表裏一体
  2. わたしたちはリスクを避けたがる

ということになります。

普通の人であれば、理由がなければリスクのあるものに投資することはないのです。そして、その理由というのがライフプランなのです。もし、リスクのあるものに投資しなくても問題ないのであれば、無理に、リスクのある金融商品を見つけ出すことはありません。

金融商品は目的を達成するための手段

このとき大切になるのが、ライフプランです。ライフプランをはっきりさせて、それをお金に換算して、そこではじめて資産運用を考えればよいのです。

  • 若いうちから無理なく積立てを行って老後に備える
  • 退職金のようなまとまったお金が予定していた時期に入ってくることを踏まえて将来に備える
  • 死亡保険金など予期していなかったお金が入ってきて、取り崩しながら運用する
  • 子どもが事業を確実に承継できるように計画的に資金を移転する
  • 財産を早めに分与して相続でもめることのないように措置を講じておく

といった文脈の中で資産運用を考え、そして、具体的な金融商品を見出すことが必要なのです。

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