ファンド分析~リスク抑制世界8資産バランスファンド(しあわせの一歩)

ファンドの特徴

このファンドは、アセットマネジメントONEが運用するファンドで、国内外の株式・債券・リートに投資するファンドです。株式と債券については、日本、先進国、新興国に、リートについては日本と外国の資産に投資することになっています。このファンドは、ファンドファミリーファンド形式で運営されており、投資顧問会社としてアセットマネジメントONE USAが入っています。

8つの資産クラスに投資するポートフォリオになっていますが、各資産の変動の要因を、金利水準、為替変動、世界の経済成長と想定し、これらの要因に等分に投資することを投資方針としています。また、目論見書上には、リスクの年率を2%程度に抑えることが明記されており、年金ファンドなどで用いられている“リスク・バジェッティング”の考え方を個人向けのファンドに適用したものと考えることができます。

運用環境が悪化したときには、リスク資産の配分比率を引き下げ、あるいは、現金や安全資産の配分比率を引き上げるようにします。コロナウィルスの拡散のため3月の数週間リスク資産への投資を控えていましたが、3月の下旬からは、リスク資産への投資を復活させています。

※ 2020年6月末時点の情報で記入しています

ポートフォリオ

株式・債券(日本、先進国、新興国)およびリート(日本、外国)に投資します。5月末時点、安定資産に73.0%、リスク資産13.0%、現金等に14.0%の配分になっています。

運用体制

アセットマネジメントONE

アクティブ・パッシブ

パッシブ運用(マザーファンド)
アクティブ運用(アセットアロケーション)

販売会社

ゆうちょ銀行横浜銀行、北洋銀行、信金中央金庫、碧海信用金庫など

資産残高の推移

ファンドは2016年10月に設定。2017年から2018年中旬にかけて純資産残高が上昇し、その後、純資産残高は緩やかに上昇。純資産残高はほぼ右肩上がりに増加。2020年6月では約1400億円

購入時手数料

1.1%(ゆうちょ銀行、北洋銀行)

信託報酬

0.759%程度(年額)

収益分配金

分配は年6回。「経費控除後の配当等収益および売買益の全額を分配対象額とする」と記載があります。実績ベースでは、2017年11月以降は月10円の分配金になっています

このファンドに対するコメント

このファンドを評価するときに比較したいのが、トレンド・アロケーション・オープン (以下、トレアロ)【分析レポートはコチラ】です。トレアロはトレンドフォロー戦略を採っています。好調な資産クラスの配分比率を引き上げる戦略です。一方、しあわせの一歩はリスク・バジェッティングいずれも、下方リスクを抑えようとする戦略です。

コロナ問題が惹起した2020年の前半。トレアロのリターンは-16.2%しあわせの一歩のリターンは1.8%でした。この差はどこから来たのかといえば、2月と3月の投資判断にありました。トレアロがリスク資産への投資比率を縮小したのが3月の上旬から中旬です。しあわせの一歩はより早い段階からリスク資産の投資比率を抑えていました。

一方、トレアロは6月に至ってもリスク資産の投資比率をゼロに維持したままと推定されますが、しあわせの一歩は5月末にはリスク資産への投資比率を引き上げています。いずれも投資判断としては、しあわせの一歩がトレアロを凌いでいたということができるでしょう。

ピックアップファンド(eMAXIS バランス(8資産均等型))

ファンドの特徴

このファンドは、三菱UFJ国際投信が運用するバランス型ファンドです。ポートフォリオは、日本/先進国/新興国の株式と債券、および、日本/先進国のREITに均等に投資することを基本にしています。等分ですから、各資産クラスの投資比率は12.5%になっています。
実際のポートフォリオがどうなっているかは、月次レポートで確認できます。2020年3月末現在、日本債券への投資比率が11.2%と少し少なくなっていますが、そのほかの資産クラスへの投資比率は12%台となっており、ほぼ基本ポートフォリオが維持されている状態です。

過去5年の履歴からリスクを計算すると約10%です。株式指数のリスクよりは小さいが、外国債券のリスクよりは大きいい程度の数値です。運用は、各資産クラスではインデックス運用に、アセットクラスの組み入れ比率(アセットアロケーション)もインデックス運用になっています。

このファンドには、「波乗り型」という投資スタイルの異なるファンドも用意されています。「波乗り型」、トレンドフォロー(好調なアセット(資産)クラスへの投資比率を上げる)戦略を採っていますが、「波乗り型」より「均等型」のほうが、運用成績はよくなっています

※ グラフは2020年4月末時点の情報で記入しています

ポートフォリオ

ファミリーファンド方式で運用されています(マザーファンドが設定されています)。マザーファンドの運用も三菱UFJ国際投信が行っています

運用体制

自社運用

アクティブ/パッシブ

資産クラス:パッシブ運用
アセットアロケーション:パッシブ運用

販売会社の特徴

SMBC日興証券、三菱UFJ銀行、福岡銀行、楽天証券、SBI証券、エース証券など

資産残高の推移

ファンドは2011年10月に設定。ほぼ右肩上がりで純資産残高を伸ばしていますが、純資産残高はそれほど大きな金額になっていません。2020年3月末時点では268億円に達しています

購入時手数料

購入時手数料はゼロ(ノーロードファンド)
(購入時手数料を徴収する販売会社はありません)

信託報酬

0.55%(年額)

収益分配金

分配は年1回(毎年1月)。「信託財産の成長を優先し、原則として分配を抑制する方針」と記載があり、実績ベースでは、収益分配金が支払われた実績はありません。

ファンドに対するコメント

請求目論見書等を見ると各マザーファンドに投資している(ベビー)ファンドとその規模を確認することができますが、機関投資家を含め幅広い資金を三菱UFJ国際投信が集めて運用していることがわかります。それゆえ、このファンドの資産規模が小さくても、効果的な運用ができるわけです。8つの資産クラスそれぞれにマザーファンドを用意できるのは、三菱UFJ国際投信が運用機関として日本最大級の規模を誇っているからでしょう。

このファンドを含むeMAXISは、コストを意識した投資家の成長を見越したファンド設定になっていますリーマンショックからひと段落したころに設定され、それから先の10年を見据えた戦略的なファンドであったと思います。

2017年5月には、ファンドのコストをさらに引き下げた、「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」も設定しています。これらのファンドは、コストを重視する個人長期投資家に歓迎されるファンドになっています。