ファンド分析~たわらノーロード バランス(8資産均等型)

ファンドの特徴

このファンドは、アセットマネジメントONEが運用するファンドで、日本の株式・債券日本を除く先進国の株式・債券新興国の株式・債券および日本と日本を除く先進国のリート(不動産投資信託)に、等分に投資するファンドです。このファンドは、ファンドファミリーファンド形式で運営されています。
それぞれの投資先ファンド(マザーファンド)の運用はパッシブ運用になっています。毎月のレポートに含まれている、三菱UFJ国際投信が運用する「eMAXISバランス(8資産均等型)」のクローンファンド(オリジナルのファンドを完全にコピーしたファンド)といっても過言ではありません。このファンドが設定されたのが2017年7月末ですから、トラックレコード(ファンドの運用実績が確認できる期間)がようやく3年になり、評価の対象になってきた感じです。
eMAXISより後発であることを活かして、手数料を引き下げた設定になっています。当然ながら、このファンドもeMAXISバランス(8資産均等型)も、“つみたてNISA”の対象ファンド(注1)になっています。

※ 2020年7月末時点の情報で記入しています

注1 “つみたてNISA”の対象ファンドは、手数料が低水準、分配が頻繁に行われないなどの条件を満たしたファンドです

ポートフォリオ

株式・債券(日本、先進国、新興国)およびリート(日本、外国)に投資します。基本配分比率は各資産クラスとも等分(12.5%)です

運用体制

アセットマネジメントONE

アクティブ・パッシブ

パッシブ運用(マザーファンド)

販売会社

みずほ銀行川崎信用金庫京都中央信用金庫SMBC日興証券、水戸証券など

資産残高の推移

ファンドは2017年7月に設定。2017年から2020年中旬にかけて純資産残高は基本的には右肩上がりで上昇。2020年3月ごろに純資産総額が落ち込んでいるが基準価額の下落によるものと推定される。2020年7月では約100億円

購入時手数料

購入時手数料はない(ノーロード)

信託報酬

0.154%程度(年額)

収益分配金

分配金を支払った実績はありません。

このファンドに対するコメント

eMAXISバランス(8資産均等型)を意識して作ったファンドであることは明白です。このファンドがあとで設定されているので、eMAXISに対して魅力があるように作られています

一つは信託報酬で、eMAXISは0.55%、このファンドは0.154%です。もう一つは信託財産留保額で、eMAXISは0.15%の信託財産留保額が設定されていますが、このファンドでは設定がありません。つまり、解約のときに差し引かれる手数料がない分、このファンドのほうがお得になるということです。

運用については、このファンドの年換算リターンが2.5%であるのに対して、eMAXISの年換算リターンは1.64%。年換算のリスクはこのファンドが10.68%、eMAXISが11.33%です。いずれも、このファンドがeMAXISを上回る結果になっています。

ファンド分析~リスク抑制世界8資産バランスファンド(しあわせの一歩)

ファンドの特徴

このファンドは、アセットマネジメントONEが運用するファンドで、国内外の株式・債券・リートに投資するファンドです。株式と債券については、日本、先進国、新興国に、リートについては日本と外国の資産に投資することになっています。このファンドは、ファンドファミリーファンド形式で運営されており、投資顧問会社としてアセットマネジメントONE USAが入っています。

8つの資産クラスに投資するポートフォリオになっていますが、各資産の変動の要因を、金利水準、為替変動、世界の経済成長と想定し、これらの要因に等分に投資することを投資方針としています。また、目論見書上には、リスクの年率を2%程度に抑えることが明記されており、年金ファンドなどで用いられている“リスク・バジェッティング”の考え方を個人向けのファンドに適用したものと考えることができます。

運用環境が悪化したときには、リスク資産の配分比率を引き下げ、あるいは、現金や安全資産の配分比率を引き上げるようにします。コロナウィルスの拡散のため3月の数週間リスク資産への投資を控えていましたが、3月の下旬からは、リスク資産への投資を復活させています。

※ 2020年6月末時点の情報で記入しています

ポートフォリオ

株式・債券(日本、先進国、新興国)およびリート(日本、外国)に投資します。5月末時点、安定資産に73.0%、リスク資産13.0%、現金等に14.0%の配分になっています。

運用体制

アセットマネジメントONE

アクティブ・パッシブ

パッシブ運用(マザーファンド)
アクティブ運用(アセットアロケーション)

販売会社

ゆうちょ銀行横浜銀行、北洋銀行、信金中央金庫、碧海信用金庫など

資産残高の推移

ファンドは2016年10月に設定。2017年から2018年中旬にかけて純資産残高が上昇し、その後、純資産残高は緩やかに上昇。純資産残高はほぼ右肩上がりに増加。2020年6月では約1400億円

購入時手数料

1.1%(ゆうちょ銀行、北洋銀行)

信託報酬

0.759%程度(年額)

収益分配金

分配は年6回。「経費控除後の配当等収益および売買益の全額を分配対象額とする」と記載があります。実績ベースでは、2017年11月以降は月10円の分配金になっています

このファンドに対するコメント

このファンドを評価するときに比較したいのが、トレンド・アロケーション・オープン (以下、トレアロ)【分析レポートはコチラ】です。トレアロはトレンドフォロー戦略を採っています。好調な資産クラスの配分比率を引き上げる戦略です。一方、しあわせの一歩はリスク・バジェッティングいずれも、下方リスクを抑えようとする戦略です。

コロナ問題が惹起した2020年の前半。トレアロのリターンは-16.2%しあわせの一歩のリターンは1.8%でした。この差はどこから来たのかといえば、2月と3月の投資判断にありました。トレアロがリスク資産への投資比率を縮小したのが3月の上旬から中旬です。しあわせの一歩はより早い段階からリスク資産の投資比率を抑えていました。

一方、トレアロは6月に至ってもリスク資産の投資比率をゼロに維持したままと推定されますが、しあわせの一歩は5月末にはリスク資産への投資比率を引き上げています。いずれも投資判断としては、しあわせの一歩がトレアロを凌いでいたということができるでしょう。