新型コロナウイルスと就業不能~その1

新型コロナウイルス関連で働くことができないので、生活が大変ということがメディアで数多く取り上げられている。「働くことができない」を分類すると下図のようになるのではないだろうか。(2020年4月29日現在)

「働くことができない」は、新型コロナウイルスに罹患していて働くことができない場合と、新型コロナウイルスに罹患していないけど働くことができない場合に分類できる。

新型コロナウイルスに罹患した場合サラリーマンは公的保障が整備されている。業務外で罹患した場合は傷病手当金業務であれば労災保険が適用される。労災保険だと、給与の80%傷病手当金だと給与の3分の2が保障となる。傷病手当金は健康保険の給付である。週20時間働いていなくて、健康保険の被保険者になっていないパート従業員は、市町村が提供する国民健康保険の被保険者になっていることが考えられる。この場合は、特例として、国民健康保険から傷病手当金を受け取れるしくみが整備されている。(参考:厚生労働省事務連絡)世帯主の健康保険の被扶養者である場合は、傷病手当金は受け取れない。

フリーランスの場合は、上限100万円の持続化給付金の対象になるが、支給されるのは1回のみである。サラリーマンに比べて保障が低い。

新型コロナウイルスに罹患しなくて働けない場合を見てみよう。サラリーマン等については、企業に対して「雇用調整助成金」という制度がある。これはあくまで企業に対して支払われるものであるが、1年間であれば、「100日+3か月」の期間、休業手当の金額の9割(中小企業で解雇を行わない場合、上限額は8,330円)の保障になっている。パート従業員も対象になる。

一方、フリーランスの場合は、前述の持続化給付金になる。

図中、「ここに該当する場合(A)」のグループに含まれる人について考えてみよう。新型コロナウイルスに罹患しているわけでもないが、仕事をすることができない人たちである。休業補償はある人もいれば、ない人もいる。働けないのであれば、民間の就業不能保険はこういったケースで保険金が受け取れるのだろうか?

<つづく>

寡婦は住民税が非課税!?

先日、FPのみなさまとビデオを使った研修を行っていました。シングルマザーの世帯のライフプランを取り上げたのですが、寡婦の説明でみなさん「?」となってしまいました。そこで、改めてまとめておきます。

寡婦は非課税!?

寡婦って夫と死別した人?

いえ、死別だけではなく、離別も含まれます子どもがいればそれだけで寡婦子どもがいなくても一定の所得以下であれば寡婦に該当します。くわしくは国税庁のウェブサイトをご覧ください。

男性の場合(寡夫)の場合は?

寡夫の場合も死別だけではなく、離別も含まれます。ただし、寡夫の条件は、寡婦の条件より厳しくなっています

  • 子どもがいること
  • 一定の所得以下であること

が寡夫の条件です。くわしくは国税庁のウェブサイトをご覧ください

非課税になるのは所得税?住民税?

所得税には、寡婦控除、寡夫控除の所得控除(所得を少なくするしくみ)があって、メリットがあるしくみですが、寡婦(寡夫)というだけで自動的に非課税になるわけではありません自動的に非課税になるしくみがあるのは「住民税」です。

道府県は、次の各号のいずれかに該当する者に対しては、道府県民税の均等割及び所得割(第2号に該当する者にあつては、第50条の2の規定によつて課する所得割(以下本款及び第2款において「分離課税に係る所得割」という。)を除く。)を課することができない。(中略)

二 障害者、未成年者、寡婦又は寡夫(これらの者の前年の合計所得金額が125万円を超える場合を除く。)

地方税法第24条の5

というわけで、合計所得金額が125万円以下であれば住民税は非課税ということになります。だから、

誰でも非課税になるの?

という質問の答えは、「NO」です。ところで、合計所得金額って…??ですよね。説明するととてもややこしいのですが、個人住民税の所得割の解説(東京都主税局のウェブサイト)を見ていただくとなんとなく理解できると思います。

簡単に理解するために、給与所得しかないサラリーマンを考えます。そうすると

合計所得金額=給与収入-給与所得控除

ということになります。給与所得控除の表に当てはめて計算してみると、204万円程度までは非課税になるようです。つまり、

給与収入が204万円(月収17万円)の寡婦(寡夫)は、
住民税が非課

というのが正確な表現ですね