2月第5週の市況

2020/2/24    月

コロナウィルスに対する懸念と米国でのサービス部門の購買担当者指数が低下し欧米の株式市場は軟調な展開になった。米国では、マイクロソフト、Amazon、アップルなどが2%以上の下落となり、VIX指数も上昇。フィラデルフィア半導体指数は3%以上の下落。Dropboxは収益見通しが堅調で株価は20%上昇。T-Mobileとの合併でソフトバンクの出資比率が下がるSprintは6%上昇。T-Mobileは0.6%の下落。欧州市場では自動車関連が2%近くの下落となり、ドイツのDAXも0.6%下落。AMS、STMroelectoronics、ASMLなどのIT関連も1%前後の下落

2020/2/25    火

米国では株式市場が軟調。民主党の大統領候補サンダース上院議員がすべての国民にMedicareを適用するように主張し、ヘルスケアのセクターは7%の下落。大手のユナイテッドヘルスケアは7.6%、Centere Corpも9.4%下落。欧州市場では、イタリアでコロナウィルスの死亡者が6名観測され株式市場は5.4%の下落。2016年6月のBrexit決定以来の大幅な下落となった。Easyjet、エアフランス、ルフトハンザ、ライアンエアーなどが少なくとも7.4%値を下げる。ドイツではIfo指数が予想外に上昇したが、株式指数のDAXは4%下落

2020/2/26    水

米国市場では、コロナウィルスの拡散への懸念からダウとSP500が3%以上値を下げた。10年イールドは1.332%に下落史上最低の水準。30年イールドも史上最低。欧州市場でもコロナウィルスへの懸念から市場は軟化。VIX指数は引き続き上昇。中国便を4月まで運航停止にしたデルタが6%下落するなど航空株がセクターとして5%以上値下がり。マリオットは8%、トリップアドバイザーは4.7%下落。ドイツのDAXは1.9%、イタリアのFTMIBは1.4%値を下げた。昨日に引き続き航空関連が値を下げたほか、銀行や保険が大きく値下がり。ドイツのコメルツバンクは5.8%の値下がり。また、ドイツの車部品のLeoniも6%値を下げ、英国のエンジニアリング会社のMeggittはコロナウィルスとボーイング737MAX問題で5%値下がり

2020/2/27    木

米国市場はコロナウィルスへの警戒感から株価下落したが昨日まで程ではなくなった。エネルギー関連が3%と大きく下落したが、テクノロジー株は0.4%の上昇。取引量は多くなっている。イールドは引き続き下落し史上最低を更新。米国とドイツ当局はコロナウィルスのパンデミックに警戒するよう伝える。欧州市場では、引き続きコロナウィルスへの警戒感から市場は4か月来の低水準に下落。旅行、金融、化学、テクノロジーの各セクターは3~4%下落。英国の酒造メーカーDiageoは利益の減少を予想し3%株価下落。フランスの食品メーカーダノンも、2020年の減収減益を公表したが株価は1.4%上昇

2020/2/28    金

欧米市場で、コロナウィルスの懸念が拡大し、株価は大きく下落。米国市場では、SP500が4.4%、NASDAQが4.6%と大きく下落。一方で、市場ボラティリティに連動するVIX指数はさらに上昇。航空関連株の指数は5.7%値を下げ、中国の関連の深いフィラデルフィア半導体指数も4.7%下落。マイクロソフトはサプライチェーンの崩壊からPCビジネスが影響を受けると公表し株価が7%下落。3Mはパンデミックにより利益を被るとして株価が0.8%上昇。欧州上でも株価は下落。中国や香港のウェイトの高いスタンダード・チャタード銀行は3.7%値を下げ、ベルギーのビール大手InBevは2020年の成長予想を下方修正し8%株価下落。さらに、旅行・レジャー関連の指数は3.2%の軟化

過去の市況を確認しよう!!

1か月前の市況 1年前の市況

2019年の株式市場から学ぶべきこと~その2

2019年の株式市場から学ぶべきこと~その1」はこちら

さて、一歩話を進めるとすれば、どうしてそうなったの?という原因を明らかにしておくことである。2018年は、年の半ばに米中の貿易戦争ともいうべき状態が勃発した。米国が貿易赤字に業を煮やし、相手国に個別に関税の引き上げをちらつかせながら交渉を行い始めた。その影響がはっきりと表れたのが2018年であった。ちなみに、米国の経済は減速したわけではない。ただし、2018年の年末にかけてその兆しはあった。債券市場で逆イールドという状況が出現したからである。

景気悪化の前兆といわれる逆イールド(カーブ)

2019年に入って米国では、トランプ大統領がパウエルFRB議長に圧力をかけ金利を引き下げることに成功した。トランプ大統領は、米中貿易協議でも、市場に気を持たせながら1年かけて、なんとなく一部の合意に至った。FRBはトランプ大統領の求めるように金利を引き下げ、英国のBrexitの混乱による一時的な落ち込みはあったものの、2019年は各国の株式市場が、最終的には、史上最高値を更新し続ける市場になった。

覚えておくと役に立つことは、「日本円」という資産クラスである。為替は、普通、外国株式や外国債券の騰落率の中に組み込まれている。2018年の、円ドル為替は、2.7%円高に動いたのである。円高になると、外貨建て資産は、(為替ヘッジをしていなければ)一様に影響を受ける。

景気が悪くなると、投資家は安全資産に資金を戻す。日本円は、安全資産の一つと考えられている。だから、円高になる。円高は外貨建て資産の大敵である。円高は株安と同時に起こることが考えられる。

さらに、理解しておきたいことは、米国市場は史上最高値を更新し続けているということである。つまり、株式はとても高い評価を受けているわけである。株式がどの程度の評価を受けているのかは、

PER(株価収益率=株価÷1株当たり純利益)

で測ることができる。

しかし、

実際の市場で考えられているPERは、「株価÷1株当たりの予想される純利益」

である。予想される純利益が引き下げられたら、PERが変わらないとすれば株価が下がることになる。市場で付けられている株価は、予想の業績に基づく数値なのである。37万台しか自動車を生産しない電気自動車のテスラモーターズの時価総額が、GMとフォードの2社の時価総額の合計額を超えたと、2020年1月に報じられた。これも同じである、テスラモーターズの予想される純利益が大きいので、株価が高くなる。同じ理由で、予想が覆ると株価も大きく損なわれることも容易に理解できる。

この記事は、「週刊インシュアランス」に掲載したものを、出版社の許可を得て転載したものです。