FPとしてできること~その1

コロナ禍にあって、職を失った、働く時間が短縮されて給与が減ったなどという報道は毎日のように聞くようになった。思い起こせば、リーマンショックの時も同じような感じであったと思う。ファイナンシャルプランナー(FP)という肩書がある人は、そういった人から相談を受けたときにどのようにアドバイスができるか考えておいた方がよいだろう。保険や投信を売るときだけ「私はFPで専門家です」と伝えて、生活に関する相談が来たら「ほかのFPの方に尋ねてください」では、FPとは単なる金融商品の販売員になってしまう。

FPとして対応できることは何であろうか?その一つは情報をまとめることである。ストレスがかかった状態で人は、自分のことを客観的に見ることできない。自分ではAだと思ってもその思いを自分で信じることができず迷ってしまう。また、自分の思いが強すぎても、そのベクトルが次の段階に進むためのベクトルと一致していなければ、無駄足を踏んでしまうことになる。そこで、FPとしてできることは、そういった状態に寄り添いながら、情報の素(もと)を聞き出し、そして、その情報をまとめることであろう。

生活困窮者支援制度という制度を聞かれたことがあるだろうか。生活困窮者支援制度とは、国が創設した生活のための第2のセーフティネットである。ちなみに、第1のセーフティネットが生活保護である。『生活保護を受ける前に、もう少し違ったアプローチで支援が入っていれば保護にならなくて済んだのに・・・』というニーズが、生活困窮者支援制度が創設された根底にある。生活困窮者支援制度には、住居確保給付金家計改善支援などが含まれており、FP自身がその仕事に就いていることもある。

(つづく)

この記事は、週刊インシュアランスに掲載されたものを、出版社の許可を得て転載したものです。保険関係者に好評の生命保険統計号もこちらからご購入いただけます。

インシュアランス掲載記事

 

東京の家計が受けたコロナの影響

2021年2月に、2020年(暦年)の家計調査の家計収支編が公表されました。

昨年、2019年のデータから確認しておきましょう。グラフは内側の円グラフが全国平均、外側のグラフが東京都区部です。

東京の特徴は、

  • 交通・通信費の割合が低い
  • 教育費の割合が高い
  • 直接税の割合が高い

というものです。

2020年の状況はどうであったかというと、ほぼ同じような傾向になっています。直接税の割合が大きくなったことがちょっと目につきます。

2020年は、コロナウィルスの影響があったことが考えられますので、2019年と2020年でいくつかの項目の増減をチェックしてみましょう。

最初に、全国平均です。

収入は世帯主の収入が減って、配偶者の収入が増えています大きく落ち込んでいるのは、交通費と交際費です。これらは、コロナウィルスの影響と考えられますね。

一方で、食料は2.7%増えています。自宅で食事をしたことの影響だと推定できます。直接税と社会保険料は増えていますね。

東京都区部になると少し様相が変わります

収入ですが、世帯主の収入は増加しています配偶者の収入は2割弱増えています

交通費と交際費は大きく下落していますが、全国平均ほど下落はしていません。通信費が増えているのは、オンライン会議などの影響かもしれませんね。

直接税と社会保険料は、全国平均を大きく上回る上昇になっています。保険料は、全国平均より大きく減っています

東京都区部の変動を全国平均の変動と比較すると、都市部の家計の動きが少しわかりますね。