コロナ禍で家計の貯蓄・負債はどう変わったか~その1

2021年5月に、2020年の「家計調査 貯蓄・負債編」が公表された。家計調査は、国が行う重要な統計として、統計法による「基幹統計」で指定されている統計である。その結果は、毎月、公表され、四半期、暦年、年度ベースで平均値が公表されている。標本の数が約9000件と少ないために、調査対象者の入れ替えによる影響などが考えられるが、たくさんの属性で分析することが可能で、現在では「e-Stat」を経由して、データを必要な属性ごとにダウンロードすることが可能になっている。

さて、今回筆者がチェックしたのは、『2019年から2020年にかけて、家計の資産・負債ポートフォリオはどのように変化したのか』ということである。軸として用いた属性は、「年間収入」である。実際には、1年間の世帯の収入を合計したものを、金額の多少により20%ずつグループにして、小さいグループから第1五分位、第2五分位、最も年間所得が多い20%を第5五分位と分類した五分位を、「年間収入」を代表する指標として利用している

資産の区分は、通貨性預貯金、定期性預貯金、生命保険、有価証券、金融機関外の5つに分類されている。金融機関外とは、勤め先の共済組合への預貯金などを含む区分である。なお、公的年金や企業年金は、家計調査の“貯蓄”には含まれていない。

つづく

インシュアランス掲載記事

FPとしてできること~その2

(前半部はこちら)

あなたがコロナの影響受けて生活に困っている人から相談を受けたと考えてみよう。あなたは、FPとしてその人から状況を聞いて、まとめた情報を、生活困窮者支援の窓口で仕事をしている支援者に提供することができる。情報を提供された支援者は、自らヒアリングする内容を提供してもらえたのであれば、時間を節約して次の行動に移れるので効果的である。そうすると、あなたが知っておくべきは生活困窮者支援の担当者がどのような情報を知りたいかということである。

情報をまとめるときに大切なポイントがいくつかある。それは、その人の家族構成や家族以外の人とのつながりである。エコマップと呼ばれる図を作ると、意外に関係する人が少ないことがある。関係する人が少ないということは相談する人が少ないということであり、だから、適切な解決策に近づけないということになる。断片的に話してもらうことを書き出すことも大切である。人は、視覚に訴えるとそこから新たな気づきを見つけることができる。だから、文字にする、絵にするといった作業は大切である。お金の情報は最後で構わない

考えてみれば、保険募集の仕事も同じようなところがあるはずである。その人のライフプランを踏まえて、その人に適した保険を販売するように金融庁からも指導されているはずである。では、その人のライププランをどのように理解するのか。そのためには、家族構成が必要であり、どのような仕事をしているかのみならず、どのような活動をしているのか、将来はどのようにしたいのか等の情報が必要になるであろう。そして、それらを自分でまとめて、『私のライフプランはこれです』と話せる人など、ほんの一握りであろう。それならば、保険を見直すのを契機に、ライフプランを明確にしておこうということになる。ここでもお金の話は最後でよいと思う。

その時話したことを後で再現することを考えてほしい。10万円とか100万円といった数字からその背景を思い出すのは大変である。でも、お金以外の話の部分であれば簡単に思い出せる。お金以外の話(ライフプラン)を実現するために、お金の話をするのであれば、何度考えても同じ結論にたどり着けるであろう。

大切なのはお金の(量的な)情報ではなく、ライフプラン(質的な)情報なのである。

この記事は、週刊インシュアランスに掲載されたものを、出版社の許可を得て転載したものです。保険関係者に好評の生命保険統計号もこちらからご購入いただけます。

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